部門の紹介
新生児集中治療部門は、新生児集中治療室(NICU)と新生児治療回復室(GCU)から構成されます。NICUは、早産児や内科的あるいは外科的な治療を必要とする病気をもつ全ての赤ちゃんの治療施設です。県内の病院などから出生前に母体搬送され、母体胎児集中治療室(MFICU)に入院後に出生した児や、新生児搬送で入院した児の治療を行います。NICUでは、重症児の呼吸、循環、栄養管理を行います。NICUでは、医師・看護師のほか、新生児専門の臨床工学士、理学療法士、歯科衛生士、薬剤師などが協力して重症の赤ちゃんの治療を行います。
部門内容
早産児や外科疾患を有する児の出産には、新生児科医師が分娩に立ち合います。呼吸状態が不安定と判断されると、鼻専用のマスクや気管内に細い管を挿入して、人工呼吸管理を行います。NICUでは、呼吸状態や循環が安定するまで保育器内で細心の注意を払い治療をします。呼吸や循環管理は、NICU医師で小児循環専門の医師と新生児専門医師が協力して治療に当たります。特殊な呼吸・循環器疾患では、肺胞を広げる人工肺サーファクタント、肺の血管を広げる一酸化窒素、逆に肺の血管を狭くする窒素療法などを行います。
早産児では、児への侵襲を少なくするため、血管内に新生児専用の細いカテーテルから循環補助に必要な薬剤の投与を行います。また、十分量の母乳が摂取できるまでは、アミノ酸製剤を静脈内投与し栄養管理を行います。
入院後の赤ちゃんは、お母様のお腹の子宮内に近い状態に戻すため、赤ちゃんの周りをタオルで囲い、照明や騒音を最小限にしたデイベロップメント・ケアを行います。GCUでは母乳栄養を支援のため、病棟内に2か所の授乳室を設け、助産師による母乳支援を行います。
新生児外科疾患は小児外科、脳外科、泌尿器科、心臓外科、口腔外科、整形外科医等と協力して治療にあたります。先天性心疾患をはじめ全ての外科疾患の治療が行える、県内で唯一の施設です。また、未熟児網膜症や新生児難聴の診断と治療は、それぞれ専任の眼科医や小児耳鼻医が診療に当たります。退院前には薬剤師による薬剤指導を行います。先天異常や遺伝性疾患では、NICUの臨床遺伝専門医が遺伝相談も含めた診療を行います。
退院後も在宅医療を必要とする児は、リハビリ理学療法士、歯科医師、歯科衛生士が理学療法や摂食訓練、口腔ケアを指導します。地域連携課の専任スタッフは、退院前に市町村保健師や県内の多くの小児在宅訪問看護ステーションのスタッフ、在宅リハビリ訓練、在宅保育士など、病院外の関係医療スタッフと院内関係者との退院前カンファランスを主催し、地域での支援体制を調整し家族の不安と負担軽減に努めます。在宅人工呼吸管理など高度の医療介入の必要な児は、退院後の予期せぬ急変に対応できるよう、小児医療センターへ転棟後、小児科医や医療工学士とともに退院後に必要な医療技術や在宅ケアに必要な指導を受けて退院します。
NICU退院後は新生児科医師による新生児外来(毎日午後)に加えて、臨床心理士による発達外来やダウン症児を対象とした赤ちゃん体操などを行い、児の健やかな発達を願いつつ経過観察をします。
スタッフ紹介
- 西久保 敏也病院教授(医学博士、日本小児科学会専門医・指導医、日本周産期・新生児医学会専門医・指導医、臨床遺伝専門医・指導医、日本血液学会専門医・指導医、新生児蘇生法専門コースインストラクター)
- 内田 優美子講師(医学博士、日本小児科学会専門医・指導医、日本周産期・新生児医学会専門医、新生児蘇生法専門コースインストラクター)
- 釜本 智之助教医局長(日本小児科学会専門医・指導医、日本周産期・新生児医学会専門医・指導医、新生児蘇生法専門コースインストラクター)
- 中川 隆志助教(日本小児科学会専門医、日本周産期・新生児医学会専門医、新生児蘇生法専門コースインストラクター)
- 利根川 仁助教病棟医長(日本小児科学会専門医、日本周産期・新生児医学会専門医、認定心理士)
- 西本 瑛里助教(日本小児科学会専門医)
- 谷 有貴助教外来医長(日本小児科学会専門医)
- 青木 宏輸助教(日本小児科学会専門医)
- 角谷 哲基診療助教(日本小児科学会専門医)
- 政木 ジェニファー 明子医員
- 大西 将央医員
- 森本 愛海後期研修医
- 杉村 憲市後期研修医
- 辻元 力歩後期研修医
- 西山 優後期研修医
- 西川 恭平医員(産婦人科医:2022年7月末まで)