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術後疼痛管理チーム

術後疼痛管理チームについて

奈良県立医科大学附属病院では、術後疼痛管理のためPCA(Patient controlled analgesia: 自己調節鎮痛法)を使用しています。術後疼痛に対して鎮痛が適切に行われているのか、PCAを正しく使用できているか、副作用や合併症がある場合のフォローなどを多職種チーム行うPOCS(Postoperative Care Service)回診を2023年より行っています。

活動概要

ミッション

当院では、術後の痛みに対して患者さん自身で鎮痛剤を調節していただくPCAという機械を用いた管理を行っています。

PCA(patient controlled analgesia:自己調節鎮痛法)とは、痛みが強いとき患者さん自身がボタンを押して鎮痛剤を投与する方法です。患者さん自身がPCAに設置されたボタンを押すことで、痛みに応じて鎮痛剤の量をコントロールすることができます。ボタンを押さなくても一定量の鎮痛剤が自動的に投与される持続投与や、ボタンを押したときにその都度設定された量が投与されるボーラス投与、一定時間が経つまではボタンを何回押しても鎮痛剤が投与されない安全設定があります。患者さん個々人に合わせて鎮痛薬を調節することが可能である点や、医療者を呼ばずにご自身で鎮痛薬を即座に投与することができるという利点があります。

PCAには、IV-PCA(静脈内投与)、PCEA(硬膜外投与)の2種類があり、これらのデバイスを使用する患者さんを対象に術後疼痛管理チームがPOCS (Postoperative Care Service)回診を行っています。質の高い疼痛管理による患者さんの痛みのスコアの軽減、生活の質の向上及び合併症予防等を目的として、鎮痛コントロールや副作用、合併症のフォローアップを行います。

構成メンバー

当院の術後疼痛管理チームは、2023年4月より、麻酔科医を中心に術後疼痛管理に係る所定の研修を修了した専任の看護師、薬剤師、臨床工学技士により構成しています。

麻酔科医師

痛み評価や麻酔合併症がないかを診察し、鎮痛剤の調節やPCAの追加処方の検討を行います。

周麻酔期看護師・手術室看護師

患者さんの情報収集や麻酔科医師とともに診察、PCAの使い方の説明を行います。

薬剤師

PCAの残量の確認や他の痛み止めのお薬の管理を行います。

臨床工学技士

PCAの機械の管理やデータの管理を行います。

支援内容

POCS回診は、創部痛の強さやPCAの使用状況や合併症の有無など、以下を確認します。

  1. PCAの使用状況
  2. 活動度(座位、立位の可不可)
  3. 嘔気嘔吐の有無
  4. 掻痒感、神経障害、頭痛、傾眠の有無
  5. PCAの持続投与量と残量の確認
  6. 麻酔合併症や術中体位による神経障害の評価

創部痛の評価方法として、NRS (Numeric rating scale)を使用し、安静時NRSと体動時NRSをそれぞれ患者さんよりお伺いします。

痛みで眠れない、動けないなどの鎮痛コントロール不良の場合や、悪心嘔吐や眠気などの副作用がある場合、足が痺れるなどの合併症がある場合は、プロトコールに則り介入を行い、継続してフォローを行います。

対象患者

IV-PCA、PCEAを使用する患者さん

主な活動

POCS回診

平日8時40分ごろ、メンバーが対象患者さんのベッドサイドへ訪問し、痛みの強さやPCAの使用状況、副作用や合併症の有無、離床程度を診察し確認します。診察の際に必要と判断された場合は鎮痛剤の調節を行ったり、副作用に対して介入を行い、午後に再回診し再評価を行います。