令和3年度 奈良県立医科大学附属 病院指標

  1. 年齢階級別退院患者数
  2. 診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  3. 初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数
  4. 成人市中肺炎の重症度別患者数等
  5. 脳梗塞の患者数等
  6. 診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  7. その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)
年齢階級別退院患者数ファイルをダウンロード
年齢区分 0~ 10~ 20~ 30~ 40~ 50~ 60~ 70~ 80~ 90~
患者数 1133 390 484 809 1073 1521 2496 4345 2115 258
 奈良県立医科大学附属病院は奈良県の中核病院として特定機能病院、高度救命救急センター、第1種・第2種感染症指定医療機関、エイズ中隔拠点病院、精神科救急医療施設、都道府県がん診療連携拠点病院、総合周産期母子医療センター等の指定を受け、高度で先進的な治療を行うだけでなく、多くの分野で医療の中枢としての機能を果たしております。
 特に60歳以上の患者さんの占める割合が6割を超え、症状が比較的重症になりやすい高齢者の入院が多くなる傾向にあります。
また、小児期の患者さんが多くなっている理由として、周産期医療や小児救急に積極的に取り組んでいることが挙げられます。
診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)ファイルをダウンロード
循環器内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
050050xx0200xx ①狭心症、慢性虚血性心疾患 経皮的冠動脈形成術等 手術・処置等1なし、1,2あり 手術・処置等2なし 168 3.43 4.36 0.00 70.99
050070xx01x0xx ②頻脈性不整脈 経皮的カテーテル心筋焼灼術 手術・処置等2なし 167 4.87 4.79 0.00 68.04
050210xx97000x ③徐脈性不整脈 手術あり 手術・処置等1なし、1,3あり 手術・処置等2なし 定義副傷病なし 84 7.29 10.24 7.14 76.93
050030xx97000x ④急性心筋梗塞(続発性合併症を含む。)、再発性心筋梗塞 その他の手術あり 手術・処置等1なし、1あり 手術・処置等2なし 定義副傷病なし 79 12.82 11.87 1.27 69.37
050050xx9920xx ⑤狭心症、慢性虚血性心疾患 手術なし 手術・処置等12あり 手術・処置等2なし 66 3.05 3.27 0.00 68.94
①:循環器内科で最も入院数の多い病気は、狭心症に対するカテーテル検査目的の方です。狭心症は心臓自体を養う動脈である冠動脈の動脈硬化のために、血管径が細くなり、運動時などに血液を十分供給できずに、そのために胸痛が生じる病気です。この病気の重症度を判断するためにカテーテルによる検査を実施まします。結果によってはその後外科手術やカテーテルによる手術の適応となられる方もおられます。

②:脈の数が増える不整脈に対して、カテーテルで治療をする目的で入院される方です。その中でも特に多いのが心房細動という、不整脈の治療ですが、心房細動は、治療せずに放置すると、脳卒中の原因や心不全の原因となる病気です。手術は麻酔をかけて実施する場合が多く、手術自体の苦痛はありません。5日前後で退院できます。

③:不整脈の中で、心拍数が少ないために、失神や、ふらつき等の症状が出現する方に、正常の心拍数を維持するためのペースメーカーという小さな機械を体内に埋め込む手術のために入院される方です。通常5日前後で退院できます。

④:急性心筋梗塞で緊急に入院される方です。急性心筋梗塞は狭心症と同じように心臓を養う冠動脈の病気ですが、狭心症は狭くなるだけですが、急性心筋梗塞は、急に血管が詰まってしまう病気です。突然の激しい胸痛が特徴的で、緊急で冠動脈の閉塞部位を再開通させることが必要です。緊急のカテーテル治療の後、集中治療室に3−4日入院し、その後リハビリが必要になります。軽症の方で平均7ー12日ぐらいで退院できます。

⑤:狭心症で冠動脈の狭いところが確認され、カテーテルを用いて、風船やステントという金網を入れて冠動脈を太くする治療、あるいは、冠動脈の狭い部位を削る治療などのために入院される方です。

総括:循環器では、カテーテルによる治療や検査のための入院数が多いですが、緊急入院である急性心筋梗塞や心不全の症例も多く入院されます。
呼吸器・アレルギー・血液内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
040040xx9910xx ①肺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等1あり 手術・処置等2なし 109 2.15 3.30 0.00 71.96
030250xx991xxx ②睡眠時無呼吸 手術なし 手術・処置等1あり 34 2.00 2.03 0.00 56.44
040110xxxxx0xx ③間質性肺炎 手術・処置等2なし 30 28.43 18.42 13.33 72.07
130030xx97x50x ④非ホジキンリンパ腫 手術あり 手術・処置等25あり 定義副傷病なし 24 27.17 31.17 8.33 59.63
130030xx99x4xx ⑤非ホジキンリンパ腫 手術なし 手術・処置等24あり 21 16.19 10.66 4.76 64.33
①:肺癌の診断のため、気管支鏡による生検を行っています。当院ではその他にもガイドシース併用気管支内超音波断層法と超音波気管支鏡ガイド下針生検を主に行っています。

②:睡眠時無呼吸および睡眠関連呼吸障害の診断のため終夜睡眠ポリグラフ検査を行っています。治療適応がある患者さんには、持続陽圧呼吸療法(CPAP・NPPV)を導入しています。

③:膠原病関連間質性肺炎や抗癌剤による薬剤性間質性肺炎、過敏性肺臓炎の増悪、特発性間質性肺炎の増悪などに対して、ステロイドを中心とした免疫抑制剤の治療を行っています。

④:治療抵抗性リンパ腫患者に対して、自家移植を中心とした造血幹細胞移植を施行しています。

⑤:初発または治療抵抗性リンパ腫患者さんに対して、初回導入またはサルベージ療法を施行しています。

総括:呼吸器領域において肺癌・睡眠時無呼吸・間質性肺炎など急性期から慢性期の患者を幅広く診療しています。また血液内科領域においても血液腫瘍に対して移植を含めた化学療法を積極的に行っています。
消化器・代謝内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
060340xx03x00x ①胆管(肝内外)結石、胆管炎 限局性腹腔膿瘍手術等 手術・処置等2なし 定義副傷病なし 183 8.74 9.21 2.19 73.68
060020xx04xxxx ②胃の悪性腫瘍 内視鏡的胃、十二指腸ポリープ・粘膜切除術 166 5.95 7.96 0.00 73.48
060050xx030xxx ③肝・肝内胆管の悪性腫瘍(続発性を含む。) 肝悪性腫瘍ラジオ波焼灼療法(一連として)等 手術・処置等1なし 94 9.20 7.72 0.00 74.21
06007xxx9910xx ④膵臓、脾臓の腫瘍 手術なし 手術・処置等1あり 手術・処置等2なし 73 2.25 4.37 0.00 69.90
060010xx02xx0x ⑤食道の悪性腫瘍(頸部を含む。) 内視鏡的食道粘膜切除術等 定義副傷病なし 59 8.08 9.22 3.39 71.17
①:肝臓で作られた胆汁は胆管を通り十二指腸に流れます。胆石やがんなどで胆管がふさがり、胆汁の流れが悪くなり細菌が増加し胆管炎がおこります。症状は、発熱、黄疸、腹痛で、重症化すると生命を脅かす場合があります。治療は胆道ドレナージをおこない胆汁の流れを回復させ、原因である結石除去を行うこともできます。

②:胃がんは大腸がんに次いで日本人が多くかかるがんです。胃がんの主なリスクはピロリ菌感染です。胃がんは早期では自覚症状がなく検診などで発見されることが多いです。早期の胃がんであれば、いくつかの条件はありますが、内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)の適応となり、胃全体を切除することなく、治療が可能となります。

③:肝がんは、肝臓の多くを占める肝細胞が癌化した肝細胞癌と胆汁の通り道である胆管の細胞が癌化した胆管細胞癌などがあります。肝細胞癌は、C型肝炎やB型肝炎のようなウイルス性肝炎によっておこることが多いですが、それ以外にもアルコールや非アルコール性脂肪性肝炎から発生します。肝がんの治療には様々なものがあり、腫瘍の広がりと肝予備能、全身状態などを総合して治療法を選択します。一般的にがんの大きさが3cm以内、数が3個以下であれば、ラジオ波焼灼療法(RFA)が行われます。

④:膵がんは主に消化酵素を含んだ膵液の通り道である膵管にできるがんです。膵がんが疑われる場合には、CT、MRI(MRCP)、超音波内視鏡検査(EUS)、ERCPを行います。可能な限り病理診断を行って総合的に判断します。そのために内視鏡の先から針を出し、胃もしくは十二指腸から超音波で病変を確認しながら穿刺し腫瘍細胞を採取します。このような処置を超音波内視鏡下穿刺吸引法といい、消化器・代謝内科でおこなっています。膵がんに対する治療には、手術、化学療法などがあります。

⑤:食道がんは、飲酒や喫煙がリスクといわれています。食道がんは早期では自覚症状がなく検診などで発見されることが多いです。早期の食道がんであれば、いくつかの条件はありますが、内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)の適応となり、食道全体を切除することなく、治療が可能となります。

総括:消化器・代謝内科では食道、胃、腸といった消化管と肝臓、胆のう、胆管、膵臓などに起こる病気の診断や治療を行っています。早期の消化管腫瘍や総胆管結石などの内視鏡治療、肝がんに対してはラジオ波焼灼療法や、放射線科との連携してカテーテル治療を行っています。早期がんの治療だけでなく進行がんに対する化学治療も多数行っています。また、食道・胃静脈瘤出血を含む消化管出血や急性胆管炎といった救急疾患の治療や慢性肝炎、脂肪肝、肝硬変といった長期的な管理が必要な慢性疾患も治療しています。
脳神経内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
010160xx99x00x ①パーキンソン病 手術なし 手術・処置等2なし 定義副傷病なし 41 19.10 17.86 17.07 72.73
010090xxxxx0xx ②多発性硬化症 手術・処置等2なし 21 14.86 14.19 9.52 46.38
010080xx99x0x1 ③脳脊髄の感染を伴う炎症 手術なし 手術・処置等2なし15歳以上 20 20.05 16.74 5.00 54.50
010060x2990401 ④脳梗塞(脳卒中発症3日目以内、かつ、JCS10未満) 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等24あり 定義副傷病なし発症前Rankin Scale 0、1又は2 17 11.59 15.63 41.18 69.24
010230xx99x00x ⑤てんかん 手術なし 手術・処置等2なし 定義副傷病なし 17 6.47 7.22 17.65 53.59
①:脳神経内科で診療を行う入院症例のうち最も多いパーキンソン病は、全国でも奈良県でも超高齢化とともに患者数は増加傾向で、当科では、県内で実施可能な病院の限られているRI検査を含めた入院での診断確定や難病診断、年々登場する新規薬剤を駆使した綿密な薬剤調整など質の高い医療を提供しています。

②:多発性硬化症は、疾患修飾薬として経口剤や注射剤の新規薬剤が毎年多数市場に出て、特に患者の生活の質が向上している疾患です。当科では、患者の病態に応じた治療選択に注力して、入院精査でベストの治療選択に取り組んでいます。

③:脳脊髄の感染を伴う炎症、すなわち脳炎や髄膜炎、脊髄炎は、進行性の運動麻痺を来す予後不良な疾患で、早期診断と早期治療を必要とする救急疾患です。治療に難渋することが多く、感染症に対する治療に加え、免疫治療を行い、病勢の改善に向けて早期に治療を行うよう取り組んでいます。

④:脳梗塞は早期診断・早期治療が重要な疾患で、当科では実施可能な診療体制を取っています。超急性期の血栓溶解療法から急性期~慢性期の再発予防治療とリハビリテーションに精力的に取り組んでいます。

⑤:てんかんは日常生活での症状コントロールが社会的にも重要な疾患であり、当科では、てんかん病型の確定診断と急性期の痙攣重積発作の集学的治療から慢性期の薬物治療まで最適な治療法選択に向けた精査と生活指導を実施しています。

総括:脳神経内科で診療を行う入院症例は、パーキンソン病や多発性硬化症といった当科が専門性を発揮する神経筋難病と、脳梗塞およびてんかん、脳脊髄炎といった頻度の高い脳神経疾患の診療が主体です。当院は、県内外から集まる神経筋難病および脳梗塞の患者に対して積極的に集学的治療を実施する県内有数の病院です。
消化器外科・小児外科・乳腺外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
06007xxx97x00x ①膵臓、脾臓の腫瘍 その他の手術あり 手術・処置等2なし 定義副傷病なし 83 4.70 11.68 2.41 69.14
090010xx010xxx ②乳房の悪性腫瘍 乳腺悪性腫瘍手術 乳房部分切除術(腋窩部郭清を伴うもの(内視鏡下によるものを含む。))等 手術・処置等1なし 78 6.79 10.15 0.00 62.95
06007xxx010x0x ③膵臓、脾臓の腫瘍 膵頭部腫瘍切除術 血行再建を伴う腫瘍切除術の場合等 手術・処置等1なし 定義副傷病なし 74 17.16 24.86 2.7 70.22
060035xx010x0x ④結腸(虫垂を含む。)の悪性腫瘍 結腸切除術 全切除、亜全切除又は悪性腫瘍手術等 手術・処置等1なし 定義副傷病なし 68 12.75 15.76 1.47 72.54
060340xx03x00x ⑤胆管(肝内外)結石、胆管炎 限局性腹腔膿瘍手術等 手術・処置等2なし 定義副傷病なし 63 9.29 9.21 3.17 71.75
①:多くの膵臓癌の症例の治療にあたっています。最近ではロボット手術による低侵襲手術を含む集学的治療に積極的に取り組んでいます。

②:乳癌では全国的にも数少ない内視鏡手術を取り入れた低侵襲手術に取り組んでいます。また最新の手術器具を用いて、出血量の減少や手術時間の短縮が見られています。

③:膵癌に対しては術前治療を積極的に行い、他院では切除不能といわれた症例にも血管合併切除を伴う根治を目指した手術を行っています。膵頭十二指腸切除術は大きな手術ですが、術後の平均在院日数も全国平均より大幅に短縮しています。

④:結腸癌は大部分の症例を腹腔鏡手術で行い、低侵襲化に努めています。大学病院で併存疾患が重篤な症例も多いですが、平均在院日数も短いことが特徴です。今後ロボット手術も導入を予定しています。

⑤:胆管結石や胆管炎に対しては内視鏡的治療やIVRを用いた治療を行っています。

総括:膵癌が他病院に比較して症例数が多いのが特徴です。それに合わせて胆管炎などの内視鏡やIVR治療が必要となることも多くなっています。また乳癌や結腸癌の手術が多く、多職種との連携を深めた治療を行なっています。
脳神経外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
010030xx9910xx ①未破裂脳動脈瘤 手術なし 手術・処置等1あり 手術・処置等2なし 99 2.84 2.99 0.00 64.01
010010xx02x00x ②脳腫瘍 頭蓋内腫瘍摘出術等 手術・処置等2なし 定義副傷病なし 51 20.65 20.79 3.92 60.31
010030xx03x0xx ③未破裂脳動脈瘤 脳血管内手術 手術・処置等2なし 49 10.82 9.35 0.00 63.86
010010xx9903xx ④脳腫瘍 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等23あり 47 9.81 17.1 6.38 72.23
010230xx97x00x ⑤てんかん 手術あり 手術・処置等2なし 定義副傷病なし 31 13.61 16.67 3.23 26.32
①:未破裂脳動脈瘤の治療は予防治療になりますので、自然経過も考慮して、患者本人とご家族に治療効果や合併症などのデータをお示して治療を決定しています。治療を考えた場合は、まずは術前の検査として血管撮影を行い、手術適応を検討しています。

②:脳腫瘍には良性と悪性があります。手術法や術後の後療法(抗がん剤、放射線治療など)も含めてチームで検討し、最良の治療を提供しています。

③:未破裂脳動脈瘤の治療には直達手術と血管内治療があります。個々の患者さんに適した治療をチームで検討し、最良の治療を提供しています。

④:脳腫瘍では手術を行わない場合でも他の治療法(抗がん剤、放射線治療など)も含めてチームで検討し、最良の治療を提供しています。

⑤:薬剤抵抗性の難治性てんかんを対象として手術を行っています。手術には根治術と緩和治療があり、患者の状態に合わせて最良の治療を提供しています。

総括:脳神経外科では昨年はコロナ禍ではありましたが年間679件(2021年度)の手術を行いました。最新の診断機器および手術治療支援システム(術中モニタリング・ナビゲーションなど)や覚醒下手術などを用いて、安全性と有効性を確保し、さらに患者さんやご家族が「安心かつ快適」に治療にのぞんでいただけるような手術治療を基本としています。脳腫瘍や未破裂脳動脈瘤を含んだ脳血管障害などの予定手術の場合は、手術前に検査入院を行って、患者さんおよびご家族と十分に相談の上、後日に手術を行っています。近年の高齢化に伴い慢性硬膜下血腫の手術が増えていますが、(一般的には)一週間ほどで退院されます。
心臓血管外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
050180xx02xxxx ①静脈・リンパ管疾患 下肢静脈瘤手術等 21 2.10 2.75 0.00 67.33
050050xx0101xx ②狭心症、慢性虚血性心疾患 心室瘤切除術(梗塞切除を含む。) 単独のもの等 手術・処置等1なし 手術・処置等21あり 20 30.75 21.69 0.00 73.75
050170xx97000x ③閉塞性動脈疾患 その他の手術あり 手術・処置等1なし、1あり 手術・処置等2なし 定義副傷病なし 18 12.5 12.28 0.00 73.44
050163xx02x1xx ④非破裂性大動脈瘤、腸骨動脈瘤 大動脈瘤切除術(吻合又は移植を含む。) 腹部大動脈(分枝血管の再建を伴うもの)等 手術・処置等21あり 16 27.75 19.66 6.25 71.75
050080xx0101xx ⑤弁膜症(連合弁膜症を含む。) ロス手術(自己肺動脈弁組織による大動脈基部置換術)等 手術・処置等1なし 手術・処置等21あり 14 31.29 21.93 0.00 67.79
①:下肢静脈瘤はレーザーを用いて、小さな創部で手術を行っています。リンパ浮腫には外来通院で集学的な治療を行っています。

②:狭心症・心筋梗塞など虚血性心疾患に対して、冠動脈バイパスでは低侵襲であるオフポンプ手術も行っています。心筋梗塞合併症に対する手術も、急性期は緊急手術で対応し、慢性期の心不全に対する手術も適応があれば積極的に行っています。

③:閉塞性動脈硬化症には、血管内手術やバイパス手術・血栓内膜摘除術など多様な治療手段を有しています。また、複数の治療を組み合わせたハイブリッド手術も行っています。適切な時期に適切な治療法の選択ができるように、複数の診療科と協力して治療にあたっています。

④:腹部大動脈瘤や腸骨動脈瘤には開腹による人工血管置換術や開腹を行わないステントグラフト治療があります。長期の治療成績と全身状態や年齢や併存疾患などを考慮して、適切な治療法選択がおこなえるように、複数診療科で協力して治療にあたっています。

⑤:弁膜症に対しては弁の変性が強い場合は弁置換術を行っていますが、可能であれば自己弁をできるだけ温存する弁形成を積極的に行っています。また小さな創部で行う弁膜症手術も行っています。高齢であったり、体力のない方の大動脈弁狭窄症にはカテーテル弁置換術も行っています。このように多様な治療手段から治療法の選択ができるようにしています。

総括:従来の開胸や開腹手術に加えて、カテーテル手技を用いた治療、低侵襲で行える心臓大血管手術など多様な治療手段を有しています。また他の診療科が持つ治療手段と併せて、協力しあいながら最良の治療法選択ができるよう心がけて治療にあたっています。
整形外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
070085xx97xxxx ①滑膜炎、腱鞘炎、軟骨などの炎症(上肢以外) 手術あり 52 18.04 13.12 57.69 65.23
07040xxx01xxxx ②股関節骨頭壊死、股関節症(変形性を含む。) 人工関節再置換術等 39 21.49 20.63 28.21 66.92
070230xx01xxxx ③膝関節症(変形性を含む。) 人工関節再置換術等 30 23.37 23.02 43.33 76.57
070200xxxxxxxx ④手関節症(変形性を含む。) 26 9.73 7.59 3.85 66.04
070343xx99x1xx ⑤脊柱管狭窄(脊椎症を含む。) 腰部骨盤、不安定椎 手術なし 手術・処置等21あり 25 2.08 2.68 0.00 68.24
①:下肢の変形性関節症や腱鞘炎に対して関節鏡を用いたりして手術を行うための入院

②:股関節骨頭壊死、股関節症(変形性を含む。)に対し、人工関節置換術等を行った入院

③:変形正膝関節症や壊死に対し、人工関節置換術を行った入院

④:変形性CM関節症などに対して関節鏡などを用いて手術を行うための入院

⑤:脊柱管狭窄症に対して手術を行うためにする入院

総括:整形外科では運動器疾患全般に亘って広く治療しておりますが、超高齢化時代を反映し、下肢(股関節、膝関節、足関節)の変形性関節症や変形性脊椎症による脊柱管狭窄症が多くを占めます。また、日常生活やスポーツによる使い過ぎで関節や腱に負担がかかった場合に各関節におこる炎症(滑膜炎)や軟骨損傷,腱鞘炎も多く診療しております。当院ではこれらの疾患に対して、内視鏡を使った低侵襲な手術を積極的に行っており、特にスポーツ外傷においては早期スポーツ復帰に取り組んでいます。人工関節は整形外科の標準的な治療法で、当院でも積極的に手術を行っております。また手や足に関する手術が多いのも当院の特徴です。
産婦人科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
12002xxx99x40x ①子宮頸・体部の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等24あり 定義副傷病なし 121 4.43 4.34 0.00 61.93
120180xx01xxxx ②胎児及び胎児付属物の異常 子宮全摘術等 103 7.02 9.39 0.00 34.01
120070xx02xxxx ③卵巣の良性腫瘍 卵巣部分切除術(腟式を含む。) 腹腔鏡によるもの等 98 6.47 6.11 0.00 42.89
120010xx99x50x ④卵巣・子宮附属器の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等25あり 定義副傷病なし 74 3.80 4.23 0.00 63.61
120060xx01xxxx ⑤子宮の良性腫瘍 子宮全摘術等 67 9.90 9.46 0.00 46.18
①:子宮頸癌や子宮体癌などの悪性腫瘍に対する患者さんには、根治的な手術のみで終了される方のみではなく、補助化学療法として抗癌薬治療を短期入院で受けておられる方もおられます。また、再発した場合に抗癌薬治療を受けられる場合もあり、これらすべてを含んでおります。

②:胎児や羊水、胎盤の異常が原因となり帝王切開を行った患者さんです。

③:良性が疑われる卵巣腫瘍は原則的に体に負担の少ない腹腔鏡下に手術を行います。

④:卵巣癌の治療は、手術療法と抗癌薬治療が中心となります。

⑤:子宮筋腫や子宮腺筋症などの良性の子宮疾患に対して、適応症例には原則的には腹腔鏡下で子宮摘出術を行っております。

総括:産婦人科は産科、婦人科、生殖医療、女性ヘルスケアの領域から構成されています。総合周産期母子医療センターとして、奈良県内のハイリスク妊婦の受け入れ・管理を積極的に行っています。また、婦人科では、おもに子宮頸癌・子宮体癌・卵巣癌に対する集学的治療を行っています。
近年では、鏡視下手術である腹腔鏡手術やロボット支援下手術も積極的に行っております。生殖医療や女性ヘルスケアの領域についても力を入れ始めております。
小児科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
140010x199x0xx ①妊娠期間短縮、低出産体重に関連する障害(出生時体重2500g以上) 手術なし 手術・処置等2なし 116 8.93 6.13 0.00 0.00
010230xx99x00x ②てんかん 手術なし 手術・処置等2なし 定義副傷病なし 86 5.86 7.22 1.16 5.37
140010x299x0xx ③妊娠期間短縮、低出産体重に関連する障害(出生時体重1500g以上2500g未満) 手術なし 手術・処置等2なし 66 19.17 11.01 0.00 0.00
130170xxxxxxxx ④血友病 33 6.76 10.24 0.00 23.82
140010x299x2xx ⑤妊娠期間短縮、低出産体重に関連する障害(出生時体重1500g以上2500g未満) 手術なし 手術・処置等22あり 26 36.81 28.14 0.00 0.00
①:県下唯一の総合周産期母子医療センター認可施設で、早産や低体重で生まれた新生児は、呼吸・循環が未熟なため集中治療を行なっております。

②:小児神経グループは、てんかんに対する治療を中心に行っています。てんかんとは脳に異常信号が発生することで、四肢の硬直や震えなどの体に異常な動作をきたします。ビデオ脳波は発作時に脳波と一緒に体の動作を撮影をすることで、脳と体の関係性を精査することができ、有効な治療方法がみつけやすい有効な検査です。

③:県下唯一の総合周産期母子医療センター認可施設で、早産や低体重で生まれた新生児は、呼吸・循環が未熟なため集中治療を行なっております。

④:血友病という凝固因子の不足により起こる易出血性疾患の患者さんも多く、この疾患の治療・研究を実施している施設です。県内だけでなく、県外からも多くの患者さんが来院されます。

⑤:県下唯一の総合周産期母子医療センター認可施設で、早産や低体重で生まれた新生児は、呼吸・循環が未熟なため集中治療を行なっております。

総括:小児科は平成23年にセンター化され、24時間体制で高度小児医療を行う施設です。平成28年に新病棟に移転してさらに小児医療の多様なニーズに対応できるようになりました。様々な領域を専門とする診療グループがあり、血液、神経、循環器、腎臓、腫瘍、内分泌、感染症、新生児などの各専門医が揃っています。各診療グループが協力体制のもと、総合的な医療を提供しています。
眼科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
020110xx97xxx0 ①白内障、水晶体の疾患 手術あり片眼 912 2.48 2.71 0.00 75.40
020160xx97xxx0 ②網膜剥離 手術あり片眼 72 8.72 8.48 0.00 56.49
020110xx97xxx1 ③白内障、水晶体の疾患 手術あり両眼 36 2.67 4.83 0.00 70.69
020240xx97xxx0 ④硝子体疾患 手術あり片眼 33 5.45 5.36 0.00 67.36
020200xx9710xx ⑤黄斑、後極変性 手術あり 手術・処置等1あり 手術・処置等2なし 30 7.77 6.14 0.00 67.87
①:眼科で一番多いのは白内障の患者さんです。当科では日帰りや短期間の入院で手術を行っています。

②:網膜剥離は緊急手術が必要な疾患です。硝子体手術を早期に行うことで網膜を復位し、視力の維持を目的としています。糖尿病網膜症は失明につながる疾患であり、進行すれば、硝子体手術が必要になります。

③:全身麻酔の適応となった白内障の患者さんに対しては、両眼を一度に手術することもあります。

④:網膜硝子体手術は、網膜剥離、糖尿病網膜症、黄斑円孔、黄斑前膜、黄斑変性、硝子体出血などの疾患に対する手術です。

⑤:加齢黄斑変性症や糖尿病黄斑浮腫に対する硝子体注射を外来で行っています。

総括:当科では、難治例の白内障手術をはじめ、緊急を要する網膜剥離をはじめとする硝子体手術に対応しております。
耳鼻咽喉・頭頸部外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
030400xx99xxxx ①前庭機能障害 手術なし 47 5.06 4.92 0.00 58.74
030150xx97xxxx ②耳・鼻・口腔・咽頭・大唾液腺の腫瘍 手術あり 39 5.79 7.03 0.00 53.59
030440xx01xxxx ③慢性化膿性中耳炎・中耳真珠腫 鼓室形成手術 36 7.42 7.09 0.00 49.19
100020xx010xxx ④甲状腺の悪性腫瘍 甲状腺悪性腫瘍手術 切除(頸部外側区域郭清を伴わないもの)等 手術・処置等1なし 36 6.89 8.19 0.00 59.97
03001xxx0100xx ⑤頭頸部悪性腫瘍 頸部悪性腫瘍手術等 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし 28 10.04 13.07 0.00 68.18
①:めまいの精査を行う検査入院を積極的に行っています。

②:幅広い範囲の頭頸部領域の手術治療を行っています。

③:中耳炎に対する手術治療に積極的に取り組んでいます。

④:甲状腺に対する手術治療もたくさんの症例行っています。

⑤:悪性腫瘍の手術治療以外の化学放射線治療で入院される方も多くおられます。

総括:耳鼻咽喉・頭頸部外科のすべての領域を幅広く取り扱っています。
皮膚科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
080020xxxxxxxx ①帯状疱疹 21 8.38 9.22 0.00 68.19
080220xx99xxxx ②エクリン汗腺の障害、アポクリン汗腺の障害 手術なし 21 2.62 3.51 0.00 31.29
080010xxxx0xxx ③膿皮症 手術・処置等1なし 14 13.36 13.07 14.29 66.14
080190xxxxxxxx ④脱毛症 12 3.00 3.36 0.00 41.67
160200xx0200xx ⑤顔面損傷(口腔、咽頭損傷を含む。) 鼻骨骨折整復固定術等 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし 11 4.45 5.16 0.00 37.91
①:帯状疱疹などのウイルス感染症です。軽度であれば外来通院で治療を行いますが、他疾患の合併などで免疫抑制状態である方は重症化しやすく、入院のうえ点滴治療が必要となることがあります。当科では主に重症化した方を受け入れて治療に当たっております。

②:自己免疫反応に伴う発汗障害では、ステロイドパルス療法が治療選択肢となります。安全面に配慮し、当科では主に入院での治療を行っています。

③:蜂窩織炎などの細菌感染症です。軽度であれば外来通院で治療を行いますが、他疾患の合併などで免疫抑制状態である方は重症化しやすく、入院のうえ点滴治療が必要となることがあります。当科では主に重症化した方を受け入れて治療に当たっております。

④:自己免疫反応に伴う急性期の脱毛症では、ステロイドパルス療法が治療選択肢となります。安全面に配慮し、当科では主に入院での治療を行っています。

⑤:事故や外傷で顔面を損傷した場合、整容をできるだけ取り戻すため形成外科による再建術を行っています。

総括:上記疾患の他に、悪性腫瘍に対する集学的治療、重症の薬疹、自己免疫水疱症、難治性潰瘍、アレルギーテストなどの入院にも対応しています。
泌尿器科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
110080xx9907xx ①前立腺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等27あり 112 4.01 4.03 0.00 69.54
110080xx01xxxx ②前立腺の悪性腫瘍 前立腺悪性腫瘍手術等 80 10.79 11.63 0.00 69.11
110070xx02xxxx ③膀胱腫瘍 膀胱悪性腫瘍手術 経尿道的手術+術中血管等描出撮影加算 77 7.53 7.05 0.00 71.75
110280xx02x00x ④慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 動脈形成術、吻合術 その他の動脈等 手術・処置等2なし 定義副傷病なし 57 3.72 7.87 0.00 68.32
11001xxx01x0xx ⑤腎腫瘍 腎(尿管)悪性腫瘍手術等 手術・処置等2なし 55 9.00 10.63 0.00 65.02
①:放射線治療、特に小線源療法で根治を目指す低リスクから中リスク前立腺癌の患者が最多である。

②:ロボット支援前立腺全摘術を受ける低リスクから高リスクまでの幅広い前立腺癌患者が2番目に多い。

③:アミノレブリン酸を用いた光力学診断補助による経尿道的膀胱腫瘍切除術を受けた筋層非浸潤性膀胱癌患者が3番目に多い。

④:CKD stageⅤや腎移植後の血液透析導入のために必要なブラッドアクセス造設を受けた腎不全患者である。

⑤:上部尿路上皮癌や腎癌に対する根治治療として、腹腔鏡あるいはロボット支援下の腎(尿管)手術を受けた患者である。

総括:前立腺癌、腎癌、尿路上皮癌など泌尿器癌の患者が多いことが特徴である。
放射線科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
050170xx03000x ①閉塞性動脈疾患 動脈塞栓除去術 その他のもの(観血的なもの)等 手術・処置等1なし、1あり 手術・処置等2なし 定義副傷病なし 68 4.81 5.32 4.41 73.82
050163xx03x0xx ②非破裂性大動脈瘤、腸骨動脈瘤 ステントグラフト内挿術 手術・処置等2なし 51 9.37 11.06 0.00 77.61
050170xx03001x ③閉塞性動脈疾患 動脈塞栓除去術 その他のもの(観血的なもの)等 手術・処置等1なし、1あり 手術・処置等2なし 定義副傷病あり 50 5.74 9.61 8.00 73.14
060050xx97x0xx ④肝・肝内胆管の悪性腫瘍(続発性を含む。) その他の手術あり 手術・処置等2なし 46 13.09 10.48 6.52 71.70
060050xx97x4xx ⑤肝・肝内胆管の悪性腫瘍(続発性を含む。) その他の手術あり 手術・処置等24あり 41 10.12 16.67 0.00 70.00
①:下肢閉塞性動脈硬化症へのバルーンやステントを用いた血管拡張を行なっている。低侵襲治療であり、高齢の跛行患者さんにも安全で精神的肉体的負担の少ない治療を提供している。

②:大動脈瘤破裂予防のため、ステントグラフト留置術を行なっている。近年では止血デバイスの登場により、経皮アプローチが可能となり、より低侵襲な治療が可能となっている。

③:下肢閉塞性動脈硬化症で難治性潰瘍や壊死合併例にバルーンやステントを用いた血管拡張を行ない、心臓血管外科、皮膚科や形成外科、整形外科との密な連携のもと、早期の創傷治癒を目指している。下肢切断回避に不可欠な治療となっている。

④:原発性肝がんや転移性肝がんに対するカテーテルや針を用いたIVR治療を行なっている。局所治療だけでなく、全身の抗がん剤を併用した治療を実施しながら集学的にがん治療を行なっている。高齢者への治療も積極的に行い、副作用が少ない有効な治療を提供し、また、中高年への治療については、入院期間を短くして働きながら治療ができる環境づくりも取り組んでいる。

⑤:原発性肝がんや転移性肝がんに対するカテーテルや針を用いたIVR治療を行なっている。腫瘍局所への治療を積極的に行うことで全身への転移・進行を抑制し、根治を目指している。また、全身に転移した状態であっても、全身化学療法を併用しながら集学的な治療戦略をもち、がん治療に取り組んでいる。積極的治療の段階から緩和治療まで全人的医療に取り組んでいる。

総括:IVR(画像下治療)は、X線透視、CT、エコーなどの画像を見ながら、数ミリの細い器具(カテーテルや針)を用いて病気を治療している。がんや血管疾患の他に様々な病気に適応可能である。
麻酔科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
010111xxxxx0xx ①遺伝性ニューロパチー 手術・処置等2なし 21 4.14 12.06 0.00 76.00
070343xx97x0xx ②脊柱管狭窄(脊椎症を含む。) 腰部骨盤、不安定椎 その他の手術あり 手術・処置等2なし 20 5.50 15.77 0.00 69.50
070343xx99x0xx ③脊柱管狭窄(脊椎症を含む。) 腰部骨盤、不安定椎 手術なし 手術・処置等2なし 20 3.75 13.35 0.00 71.55
070350xx99x0xx ④椎間板変性、ヘルニア 手術なし 手術・処置等2なし 9.90
160870xx99x00x ⑤頸椎頸髄損傷 手術なし 手術・処置等2なし 定義副傷病なし 13.51
①:帯状疱疹後神経痛に対して、短期入院でX線透視下に神経根PRF、 交感神経節ブロック(熱凝固)を施行しています。難治性の場合には脊髄刺激療法を行います。年間、約150人の急性期帯状疱疹患者を診察しています。

②:脊柱管狭窄症や腰椎手術後疼痛症候群に対して、短期入院で硬膜外腔癒着剥離手術を行っています。難治性の場合には脊髄刺激療法を行います。

③:脊柱管狭窄症や腰椎手術後疼痛症候群に対して、数日の短期入院で腰部交感神経節ブロックや神経根ブロック・PRFなどのX線透視下ブロックを施行しています。

④:腰椎椎間板ヘルニアに対し、数日の短期入院で腰部交感神経節ブロックや神経根ブロック・PRFなどのX線透視下ブロックを施行しています。

⑤:頚椎症や頚椎椎間板ヘルニアなどの疾患に対し、数日の短期入院で頚部交感神経節ブロックや神経根ブロック・PRFなどのX線透視下ブロックを施行しています。

総括:当科では様々な疼痛性疾患に対して、神経ブロックを中心に治療を行っています。透視下神経ブロック・インターベンションは年間2800件で、日本有数の件数です。
救急科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
161070xxxxx00x ①薬物中毒(その他の中毒) 手術・処置等2なし 定義副傷病なし 40 2.65 3.70 7.50 51.33
160990xx97x0xx ②多部位外傷 手術あり 手術・処置等2なし 24 19.96 17.35 62.50 54.88
160100xx99x00x ③頭蓋・頭蓋内損傷 手術なし 手術・処置等2なし 定義副傷病なし 21 4.48 8.30 33.33 46.33
010310xx97x1xx ④脳の障害(その他) 手術あり 手術・処置等2あり 19 34.21 46.83 68.42 69.47
160990xx97x1xx ⑤多部位外傷 手術あり 手術・処置等2あり 18 46.61 46.89 88.89 59.61
①:当センターは高度救命救急センターとして、急性中毒に対応する役割を担っています。多くが医薬品によるもので、自宅退院される方が多い傾向にあります。

②:交通事故など多部位を受傷する外傷症例を当センターでは多く診療しています。交通事故によるものが多いですが、転落外傷などにも対応しています。

③:重症頭部外傷は非常に緊急性が高く、速やかな頭部外傷の評価が必要です。約3割ほどが転院を含めた加療が必要となっています。

④:当センターでは心肺停止蘇生後など、長期間の人工呼吸管理を要する症例も多く診療しております。他の症例と同様、地域の医療機関との連携が重要となってきております。

⑤:交通事故や転落外傷など、多部位を受傷した症例のうち、手術や処置を要する場合は上記②と比較して、転院も含めた長期の入院加療が必要となる症例が多いです。

総括:高度救命センターとして、薬物中毒や交通事故、転落外傷といった外因による緊急性の高い病態を中心に診療しています。次々と搬送されるこれらの重症病態に対応するために転院など、地域の医療機関と連携が重要となっています。
総合診療科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
110310xx99xxxx ①腎臓又は尿路の感染症 手術なし 17 7.41 13.14 52.94 76.29
070560xx99x00x ②重篤な臓器病変を伴う全身性自己免疫疾患 手術なし 手術・処置等2なし 定義副傷病なし 14 21.21 14.75 7.14 61.93
040081xx99x0xx ③誤嚥性肺炎 手術なし 手術・処置等2なし 20.57
070560xx97xxxx ④重篤な臓器病変を伴う全身性自己免疫疾患 手術あり 36.13
180030xxxxxx0x ⑤その他の感染症(真菌を除く。) 定義副傷病なし 10.47
①・③・⑤:当科は原因不明の発熱患者も多く来られ、リウマチ性疾患である膠原病であったり悪性腫瘍が原因であったりすることも多いですが、感染症である場合には尿路感染症や③誤嚥性肺炎が多くなっています。

②・④:発熱や全身の痛みなどを主訴に来られる方も多く、その原因はリウマチ性疾患(全身性自己免疫疾患)であることも多くなっています。


総括:当科は各科で診断がつかない人が多く来られますが、稀な疾患の方も多く、何か単一の疾患が数多く来るという科ではありません。また、総合診療科ではいろいろな複数の基礎疾患、糖尿病や高血圧などの生活習慣病を抱えた方から、脊椎疾患や血管炎などを発症した方々を診たり、原因不明の症状、発熱、倦怠感、痛みなどが長く続いている方々を診ることが多くなっています。これらの症状の原因は自己免疫性疾患や悪性腫瘍であることがよくあります。開業の先生方からの相談や診察依頼を受け入れたり、救急車の受け入れもおこなっておりますので、急病の方々の入院も多くなっております。
呼吸器外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
040040xx97x00x ①肺の悪性腫瘍 手術あり 手術・処置等2なし 定義副傷病なし 152 9.59 10.47 1.97 70.62
040200xx01x00x ②気胸 肺切除術等 手術・処置等2なし 定義副傷病なし 11 9.55 9.86 9.09 44.73
040030xx01xxxx ③呼吸器系の良性腫瘍 肺切除術 気管支形成を伴う肺切除等 10 14.60 8.82 0.00 70.6
040030xx01xxxx ④縦隔悪性腫瘍、縦隔・胸膜の悪性腫瘍 縦隔悪性腫瘍手術等 手術・処置等2なし 9.26
040040xx97x10x ⑤肺の悪性腫瘍 手術あり 手術・処置等21あり 定義副傷病なし 18.91
①:肺癌に対する標準手術。安全に行われています。

②:自然気胸に対する手術です。

③:肺の良性腫瘍に対する手術です。

④:主に肺以外の腫瘍に対する手術です。

⑤:肺癌に対する手術です。

総括:ほとんどすべての術式が施行可能で、安全に行われています。
腎臓内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
110280xx9900xx ①慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし 79 7.52 10.39 1.27 56.70
110280xx9901xx ②慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等21あり 39 13.67 13.74 0.00 70.62
110260xx99x0xx ③ネフローゼ症候群 手術なし 手術・処置等2なし 21 19.29 20.43 9.52 70.14
110280xx02x1xx ④慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 動脈形成術、吻合術 その他の動脈等 手術・処置等21あり 15 44.87 34.08 13.33 73.73
110280xx97x20x ⑤慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 その他の手術あり 手術・処置等22あり 定義副傷病なし 13 16.23 17.17 0.00 61.85
①:腎臓内科で最も入院数が多い疾患は腎生検を含めた検査入院と腎生検結果に基づいた治療入院です。IgA腎症など慢性糸球体腎炎が主体となります。

②:次に多いのは末期腎不全による透析導入患者です。

③:ネフローゼ症候群を呈した患者の入院も多く、腎生検で、微小変化型ネフローゼ症候群、膜性腎症などを診断し、ステロイド療法や免疫抑制療法を行っています。

④:血液透析に導入する患者に対し、入院中にバスキュラーアクセス作成術を行っています。

⑤:透析患者さんの手術が必要となるような合併症の患者さんの診療も行っています。

総括:腎臓内科では、検尿異常から透析導入、透析後の合併症まで全てのステージの慢性腎臓病、急性腎障害、電解質異常、酸塩基平衡異常などに加え、膠原病、血管炎についても診療しています。腎臓病の診療は、腎生検や透析、血漿交換、急性血液浄化療法など専門性の高い検査や治療を要することが多く、基幹病院でも対応に苦慮することが多いため、紹介いただいた症例はほぼ全例を受け入れ、対処しています。
初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数ファイルをダウンロード
初発 再発 病期分類
基準(※)
版数
Stage I Stage II Stage III Stage IV 不明
胃癌 122 17 17 17 81 33 1 8
大腸癌 11 30 47 28 85 9 1 8
乳癌 37 28 5 11 3 5 1 8
肺癌 97 18 42 32 39 24 1 8
肝癌 30 13 36 8 50 152 1 8
※ 1:UICC TNM分類,2:癌取扱い規約
(胃癌・大腸癌・肝癌について)
消化器・代謝内科では5大癌のうち乳・肺癌を除く3大癌の治療を行っています。胃・大腸癌は、早期の症例に対する内視鏡的治療や進行して手術困難な症例に対する抗癌剤治療を行っています。肝癌に対しては診療ガイドラインにもとづき、関連各科との緊密な連携のもと、ラジオ波焼灼療法、肝動脈化学塞栓療法、全身化学療法、放射線療法などを駆使して、早期から進行まであらゆるステージの治療に取り組んでいます。

(胃癌・大腸癌・乳癌・肝癌について)
 消化器外科・乳腺外科では、5大癌のうち、胃癌、大腸癌、乳癌、肝癌の治療に取り組んでいます。胃癌は内視鏡治療や切除にて完治の見込めるStage Iも多いですが、一方、進行例や再発症例が多いのが現状です。大腸癌Stage別では均等に分布しているのが特徴です。乳癌はStage I、 IIが多いですが、Stage IVや再発症例もみられます。肝癌は、再発症例が多いのが特徴で、繰り返しの治療が必要です。我々は、胃癌、大腸癌、肝癌などの消化器癌においては、進行度に関わらず、腹腔鏡下やロボット支援下での手術治療を推進しており、より低侵襲な治療を心がけています。また、進行例や再発例に対しては、最新の化学療法・免疫療法や遺伝カウンセリングなど他の診療科とも連携することで、治療成績の向上を目指しています。

(肺癌について) 
 呼吸器・アレルギー・血液内科、呼吸器外科、放射線科、放射線治療・核医学科と連携して多くの肺癌患者さんを診療しております。主にStageⅠ・Ⅱ期の肺癌であれば、呼吸器外科にて手術を行っており、手術が困難な場合は、定位肺照射を含めた放射線治療を行っています。StageⅢ期の肺癌は場合によっては手術を行っていますが、主に化学放射線治療を行っています。StageⅣ期の場合は、化学療法を中心に行っております。初診時に緩和ケア(Best Supportive Care)の方針となり精査されていない場合もあるため、UICC病期不明となっている症例があります。
成人市中肺炎の重症度別患者数等ファイルをダウンロード
患者数 平均
在院日数
平均年齢
軽症 7 8.43 63.43
中等症 18 20.44 70.78
重症 11 10.09 82.36
超重症 1 9.00 78.00
不明 0 0.00 0.00
中等症の患者数が最も多くを占めていますが、当院は地域の中核病院であり、肺癌・慢性閉塞性肺疾患・間質性肺炎など肺の基礎疾患を有する多数の患者さんを呼吸器・アレルギー・血液内科で診察しております。そういった患者背景をもった市中肺炎においては、合併症により重症化する可能性もあり、中等症も含め軽症例でも入院していただくケースがあります。在院平均日数が多いのも、合併症を有する症例が多いためと考えます。
脳梗塞の患者数等ファイルをダウンロード
発症日から 患者数 平均在院日数 平均年齢 転院率
3日以内 154 19.23 75.47 60.25
その他 7 14.43 55.57 0.62
近年の高齢化に伴い、脳梗塞を含む脳卒中の患者が増えています。当院脳卒中センターでは発症早期の急性期脳梗塞に対して、血栓溶解療法(TPA)や血栓回収療法など積極的に治療を行い、後遺症が出来るだけ軽く済むようにその後のリハビリテーションも含めた集学的治療を行っています。
昨年(2021年)は297件の急性期脳卒中(脳梗塞184件、脳内出血80件、くも膜下出血30件など)が入院しました。また、脳梗塞予防のための外科的治療の実績も多く、子供も含めてもやもや病の手術も多数手がけています。
近隣の病院に比べ特に重症患者を受け入れておりますが、在院日数は20日を下回っています。
診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)ファイルをダウンロード
循環器内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K5951 ①経皮的カテーテル心筋焼灼術 心房中隔穿刺又は心外膜アプローチを伴うもの 143 1.15 3.15 0.00 68.38
K5493 ②経皮的冠動脈ステント留置術 その他のもの 92 1.95 1.85 0.00 71.62
K5461 ③経皮的冠動脈形成術 急性心筋梗塞に対するもの 68 0.07 16.54 4.41 68.93
K5972 ④ペースメーカー移植術 経静脈電極の場合 51 1.73 4.73 3.92 75.24
K5463 ⑤経皮的冠動脈形成術 その他のもの 50 1.76 2.54 0.00 69.16
①:カテーテルを用いて、心房細動の原因となる不整脈の芽となる部位を、カテーテルで人工的に火傷を作って、心房細動の発生を根治する治療です。

②:狭心症に対するカテーテルによる治療の一種で、ステントという金網で狭い箇所を広げる治療法です。通常手術自体は2-3時間で終わります。

③:急性心筋梗塞に対する緊急のカテーテル治療で、閉塞している冠動脈を風船で広げて再開通させる治療です。この治療のお陰で、急性心筋梗塞の重症化が抑制され予後が劇的に改善しました。

④:不整脈の中で、心拍数が少ないために、失神や、ふらつき等の症状が出現する方に、正常の心拍数を維持するためのペースメーカーという小さな機械を体内に埋め込む手術です。手術自体は2−3時間で終了します。

⑤:狭心症に対するカテーテルによる治療の一種で、冠動脈を風船で広げる治療です。通常手術自体は1時間前後で終わります。

総括:循環器の手術はカテーテルによる治療とペースメーカーを移植する治療が多いですが、その他、大動脈弁をカテーテルで治す治療もしております。カテーテルによる治療は外科手術と比べ侵襲の少ないのが特徴ですが、外科手術が良いかカテーテル治療が良いかは、外科の先生を含めたハートチームで相談して最適の方法を提案しております。
呼吸器・アレルギー・血液内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K9212ロ ①造血幹細胞採取(一連につき) 末梢血幹細胞採取 自家移植の場合 14 12.86 1.86 0.00 58.36
K386 ②気管切開術 10 11.60 62.30 40 67.40
K496-5 ③経皮的膿胸ドレナージ術
K6181 ④中心静脈注射用植込型カテーテル設置 四肢に設置した場合
K6021 ⑤経皮的心肺補助法(1日につき) 初日
①:治療抵抗性血液悪性疾患(白血病、リンパ腫、骨髄腫)の自家移植前の造血幹細胞採取を施行しています。

②:腫瘍による物理的な気道閉塞や、種々の原因による呼吸不全が長期にわたる際には気管切開にて呼吸管理を施行しております。

③:膿胸に対して、皮膚切開を行い胸腔内にドレーンを留置し、排膿することで治療をしています。

④:肺・血液悪性腫瘍や、慢性経過で経口摂取が困難な症例に対して、治療目的で設置いたします。

⑤:コロナ重症患者に対して、集中治療室においてECMOを使用しています。

総括:急性の呼吸不全に対して、必要に応じて積極的な呼吸管理を行い、治療を行っています。治療抵抗で通常の化学療法が奏功しない場合、自家移植治療を行っています。
消化器・代謝内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K6532 ①内視鏡的胃、十二指腸ポリープ・粘膜切除術 早期悪性腫瘍胃粘膜下層剥離術 165 1.01 3.84 0.00 73.44
K688 ②内視鏡的胆道ステント留置術 142 1.03 8.30 1.41 73.12
K697-32ロ ③肝悪性腫瘍ラジオ波焼灼凝固法(一連として) 2センチメートルを超えるもの その他のもの 89 1.70 6.63 1.12 74.40
K6871 ④内視鏡的乳頭切開術 乳頭括約筋切開のみのもの 55 0.55 4.69 3.64 69.29
K526-22 ⑤内視鏡的食道粘膜切除術 早期悪性腫瘍粘膜下層剥離術 49 1.06 3.84 0.00 70.96
①:早期の胃癌に関しては、外科的に胃を切除することなく内視鏡で治療することが可能です。胃の壁は、内側から粘膜、粘膜下層、筋層となっており、内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)では、内視鏡を用いて粘膜下層を剥離することにより浅い胃癌を切除し治すことが可能です。

②:総胆管結石やがんなどで胆管がせまくなり、胆汁の流れが悪くなると細菌が増殖し胆管炎となります。胆管炎の治療では、内視鏡を用いて胆管にチューブを挿入し胆汁の流れをよくすることが大切です。これを内視鏡的ステント留置術といいます。

③:肝がんに対する治療には、外科手術、化学療法、などがありますが、皮膚から針を穿刺し熱で腫瘍を治療するラジオ波焼灼療法(RFA)があります。外科的におなかを切ることなく、癌の治療をすることができます。ただし、肝がんが3cm以下、3個以内がRFAの適応となります。

④:総胆管は肝臓で作った胆汁が流れる管で、その出口は十二指腸にあり、出口はファーター乳頭と呼ばれています。総胆管結石の治療の際は、内視鏡を用いてファーター乳頭を切開して出口を広げ、結石を除去します。

⑤:食道癌の治療に関しては外科手術、放射線治療、化学療法などがありますが、転移リスクがほぼゼロの浅い部位にとどまる食道癌については粘膜下層を剥離することにより切除することができます。

総括:消化器内科では、胆管炎に対する内視鏡的胆道ステント留置術、消化管出血に対し内視鏡的消化管止血術といった救急疾患を治療しております。また、早期胃癌と食道癌に対する内視鏡的粘膜下層剥離術、総胆管結石に対する乳頭切開術などの内視鏡を用いた治療のほか、肝癌に対するラジオ波焼灼療法といった超音波を用いた治療も多く行っております。
消化器外科・小児外科。乳腺外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K719-3 ①腹腔鏡下結腸悪性腫瘍切除術 71 2.35 9.62 0.00 72.86
K7211 ②内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術 長径2センチメートル未満 60 0.03 1.58 0.00 70.88
K688 ③内視鏡的胆道ステント留置術 59 0.81 6.44 3.39 71.63
K634 ④腹腔鏡下鼠経ヘルニア手術(両側) 55 0.67 0.76 0.00 4.75
K4763 ⑤乳腺悪性腫瘍手術 乳房切除術(腋窩部郭清を伴わないもの) 48 1.00 4.83 0.00 65.02
①:結腸癌は他臓器合併切除症例や困難な部位にも腹腔鏡手術を第一選択に治療にあたっています。今後はロボット手術導入を予定しています。

②:大きな腫瘍に関しても、積極的に内視鏡治療を行っており、合併症も少なくなっています。

③:膵癌・胆管癌などの術前・術後にステント留置を行うことが多くなっています。

④:小児の症例が多いことが特徴です。腹腔鏡を用いることで両側の観察が可能で、在院日数も短いのが利点です。

⑤:センチネルリンパ節生検を手術時に行うことで、腋窩郭清を省略でき、合併症の軽減が可能です。そのため術後の在院日数も短くなっています.

総括:大腸癌に対しては外科医が内視鏡治療も行うことで、手術治療が必要となった場合も移行がスムーズに行えることが特徴です。結腸癌と鼠径ヘルニアはほとんどの症例を腹腔鏡手術で行い、良好な治療成績を得ています。膵癌・胆管癌の症例が多いことから、内視鏡的胆道ステント留置も増加しています。乳癌手術でも可能な症例では腋窩郭清を省略して、合併症の軽減に努めています。
心臓血管外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K5522 ①冠動脈、大動脈バイパス移植術 2吻合以上のもの 29 4.07 41.62 0.00 72.45
K6093 ②動脈血栓内膜摘出術 その他のもの 29 2.31 16.38 10.34 75.34
K617-4 ③下肢静脈瘤血管内焼灼術 14 0.00 1.00 0.00 67.86
K560-22ニ ④オープン型ステントグラフト内挿術 上行大動脈及び弓部大動脈の同時手術 その他のもの 13 2.23 34.38 7.69 72.23
K616 ⑤四肢の血管拡張術・血栓除去術 13 1.15 18.92 15.38 74.54
①:冠動脈の状態と心機能や全身状態を総合的に評価して、オフポンプ冠動脈バイパスや体外循環使用下の冠動脈バイパスなど最適な手術術式を選択して行っています。

②:閉塞性動脈硬化症に対して動脈献饌内膜摘出術をハイブリッド手術室で行うことで、術中造影検査を行いながら適切な血流の再建ができるように手術を行っています。

③:レーザーを用いて、小さな創部で静脈瘤手術を行っています。

④:上行・弓部大動脈の開胸を必要とする胸部大動脈瘤に対して、オープン型ステントグラフトを用いることで、将来他の部位の胸部大動脈瘤手術が容易になるようにして手術を行っています。     

⑤:閉塞性動脈硬化症や急性下肢動脈閉塞に対して、ハイブリッド手術室で動脈造影検査を行いながら血管拡張術や血栓除去術を行い、できるだけ確実な血流再開が得られるようにしています。

総括:現行医療で可能な様々な治療手段を用いて、また複数の診療科と協力しながら、適切な時期に適切な治療方法を選択して心臓大血管および末梢血管の手術を行っています。
整形外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K0821 ①人工関節置換術 肩、股、膝 76 1.50 20.18 35.53 71.38
K1426 ②脊椎固定術、椎弓切除術、椎弓形成術(多椎間又は多椎弓の場合を含む) 椎弓形成 42 2.64 15.64 33.33 68.60
K0782 ③観血的関節固定術 胸鎖、肘、手、足 34 1.47 16.59 41.18 63.85
K1422 ④脊椎固定術、椎弓切除術、椎弓形成術(多椎間又は多椎弓の場合を含む) 後方又は後側方固定 24 2.42 18.79 62.50 64.88
K0802 ⑤関節形成手術 胸鎖、肘、手、足 21 1.10 7.33 4.76 64.43
①:様々な疾患で障害された足関節、肩関節、股関節,膝関節を人工関節を用いて再建する手術です。

②:脊椎の変形などにより麻痺が生じたり、痛みがある場合に脊椎固定術、椎弓切除術、椎弓形成術などを行います。

③:高度に障害された手関節、指間関節、足関節、足根骨間関節に対して、痛みをとるために関節固定術を行います。

④:脊椎の変形などにより麻痺が生じたり、痛みがある場合に脊椎固定術、椎弓切除術、椎弓形成術などを行います。

⑤:高度に障害された手関節、指間関節、足関節に対して、痛みをとるために関節形成術を行います。

総括:人工関節は整形外科の標準的な治療法で、当院でも積極的に手術を行っております。人工関節以外でも末期関節症に対して、関節固定術や形成術を行っております。脊椎の変形によって神経が圧迫される脊柱管狭窄症などの脊椎疾患の治療も積極的に行っております。神経障害が進むと痺れだけでなく、筋力低下が手や足に出現し、生活に様々な支障が出現します。脊椎手術にも内視鏡を用いた低侵襲治療を行っております。
産婦人科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K8981 ①帝王切開術 緊急帝王切開 134 4.90 5.41 0.00 32.66
K8982 ②帝王切開術 選択帝王切開 118 2.07 5.06 0.00 33.98
K8882 ③子宮附属器腫瘍摘出術(両側) 腹腔鏡によるもの 108 0.92 4.60 0.00 42.80
K877 ④子宮全摘術 64 1.34 7.81 0.00 50.67
K867 ⑤子宮頸部(腟部)切除術 40 1.00 2.00 0.00 41.13
①:当院は総合周産期母子医療センターであり、合併症を有したハイリスク妊婦を多く取り扱っています。母児の状態によって、緊急帝王切開の件数も多くなっております。

②:一度帝王切開術を行った場合は次回妊娠時の分娩は、安全性を考慮して選択的に帝王切開を行うことが多く、また前置胎盤や骨盤位などの胎位異常でも選択的に帝王切開を行います。

③:良性が疑われる卵巣腫瘍は原則的に体に負担の少ない腹腔鏡下に手術を行います。

④:巨大な子宮筋腫、腹腔内に高度な癒着が予想される子宮疾患の場合、腹腔鏡下手術の適応にならず、開腹下の子宮摘出術を行っております。

⑤:子宮筋腫や子宮腺筋症などの良性の子宮疾患に対して、原則的には腹腔鏡下で子宮摘出術を行っております。

総括:産婦人科には、産科領域では帝王切開、婦人科領域では、良性疾患(子宮筋腫や卵巣嚢腫など)と悪性疾患(子宮頸癌・子宮体癌・卵巣癌)に対する手術、生殖医療領域では妊孕性の改善および維持するための手術があります。とくに婦人科や生殖医療の手術では低侵襲手術である腹腔鏡手術やロボット支援下手術を積極的に導入し、入院期間の短縮を心がけております。
眼科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K2821ロ ①水晶体再建術 眼内レンズを挿入する場合 その他のもの 915 0.71 0.76 0.00 75.42
K2801 ②硝子体茎顕微鏡下離断術 網膜付着組織を含むもの 143 0.94 6.59 0.70 63.27
K2821イ ③水晶体再建術 眼内レンズを挿入する場合 縫着レンズを挿入するもの 27 0.74 2.52 0.00 72.67
K284 ④硝子体置換術 19 0.95 4.11 0.00 67.63
K2423 ⑤斜視手術 前転法及び後転法の併施 16 0.94 1.00 0.00 23.06
①:白内障手術は、最も一般的な眼科の手術です。混濁した水晶体を摘出し、透明な人工の水晶体と取り換える手術で、視力改善を目的に行います。当科では日帰りや短期間の入院で手術を行っています。

②:網膜硝子体手術は、網膜剥離、糖尿病網膜症、黄斑円孔、黄斑前膜、黄斑変性、硝子体出血などの疾患に対する手術です。当科では25、27ゲージの硝子体カッターを用いた小切開硝子体手術を行っており、低侵襲・短時間での手術が可能です。

③:水晶体再建術は、混濁した水晶体を摘出し、透明な人工の水晶体と取り換える手術です。レンズが脱臼した場合やチン氏帯が弱い場合など、人工レンズを眼球に縫い付ける手術を行います。

④:糖尿病網膜症や硝子体出血などの硝子体手術が必要な疾患も多く手掛けています。

⑤:当科が奈良県下の斜視手術の中心施設となっているため紹介患者が多数集まります。

総括:白内障手術はもちろんのこと、緊急を要する網膜剥離やレンズ脱臼、小児斜視手術など幅広い疾患に対応しています。
耳鼻咽喉・頭頚部外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K4631 ①甲状腺悪性腫瘍手術 切除(頸部外側区域郭清を伴わないもの) 27 1.00 4.30 0.00 59.3
K3772 ②口蓋扁桃手術 摘出 26 1.04 5.23 0.00 31.73
K4571 ③耳下腺腫瘍摘出術 耳下腺浅葉摘出術 24 1.00 3.96 0.00 55.38
K3192 ④鼓室形成手術 耳小骨再建術 23 1.00 5.35 0.00 52.00
K340-5 ⑤内視鏡下鼻・副鼻腔手術Ⅲ型(選択的(複数洞)副鼻腔手術) 22 1.00 4.18 0.00 65.23
①:甲状腺悪性腫瘍に対して手術を行う症例が多いです。

②:口蓋扁桃摘出術も行っています。

③:耳下腺の手術を行う方も多くおられます。

④:中耳の手術で耳小骨の操作を行う方が多いです。

⑤:鼻副鼻腔の内視鏡手術も行っています。

総括:耳鼻咽喉・頭頸部外科のすべての領域を幅広く取り扱っています。
皮膚科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K0072 ①皮膚悪性腫瘍切除術 単純切除 15 0.87 10.87 0.00 67.27
K227 ②眼窩骨折観血的手術(眼窩ブローアウト骨折手術を含む) 10 1.00 2.4 0.00 35.5
K0022 ③デブリードマン 100平方センチメートル以上3,000平方センチメートル未満
K0052 ④皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部) 長径2センチメートル以上4センチメートル未満
K0064 ⑤皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部以外) 長径12センチメートル以上
①:高齢化に伴い種々の皮膚悪性腫瘍(皮膚がん)が増えています。根治をめざすためにはまず、早期の段階で発見し手術療法で病変を取り切ることが大切です。

②:外傷に伴う眼窩骨折については、複視などの後遺症を残す可能性があるため、形成外科にて早期の整復手術を行うようにしております。

③:壊死した組織を除去することで、創部の清浄化と治癒の促進が期待できます。外来の局所麻酔での処置が難しい症例については、入院の上でデブリドマンを行う場合があります。

④:外来の局所麻酔での手術療法が難しい症例(顔面の腫瘍など)についても入院の上で治療を行っています。整容面に可能な限り配慮した治療を行うよう心がけています。

⑤:外来の局所麻酔での手術療法が難しい症例(大型の腫瘍)についても入院の上で治療を行っています。大型の病変の場合は皮膚に欠損を残す場合があります。損なわれた形態や機能をなるべく良い状態にするため、体の他の部位から組織を移動させ、欠損部を補い再建する場合があります。

総括:機能回復、QOLの改善を目標に取り組んでまいります。
放射線科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K616 ①四肢の血管拡張術・血栓除去術 123 1.67 3.11 5.69 73.19
K6153 ②血管塞栓術(頭部、胸腔、腹腔内血管等) その他のもの 55 1.04 3.40 1.82 64.58
K6152 ③血管塞栓術(頭部、胸腔、腹腔内血管等) 選択的動脈化学塞栓術 45 1.87 12.18 2.22 71.76
K5612ロ ④ステンドクラフト内挿術 1以外の場合 腹部大動脈 40 1.10 9.83 2.5 78.20
K6113 ⑤抗悪性腫瘍剤動脈、静脈又は腹腔内持続注入用植込型カテーテル設置 頭頸部その他に設置した場合 16 1.00 6.88 0.00 68.56
①:下肢閉塞性動脈硬化症で跛行や難治性潰瘍のある患者へのバルーンやステントを用いた動脈拡張を行なっている。低侵襲治療であり、高齢や多くの基礎疾患を有する患者さんにも安全で精神的肉体的負担の少ない治療を提供している。

②:頭頸部、肺・縦隔、腹部臓器における血管疾患(動脈瘤、血管奇形など)に対して、カテーテルを用いて病変の塞栓術を施行している。正常臓器の温存が図れ、副作用を少なく、繰り返し治療することができる。

③:頭頸部悪性腫瘍、肺などの胸部領域の転移性腫瘍、腹腔内や骨軟部への転移などの悪性腫瘍に対して、カテーテルを用いて選択的に腫瘍にだけ抗がん剤を注入し塞栓術を施行している。腫瘍への抗がん剤濃度が高まり、比較的少量で治療が可能である上に、全身へ流れる抗がん剤は低濃度になる治療である。

④:大動脈瘤破裂予防のため、ステントグラフト留置術を行なっている。近年では止血デバイスの登場により、経皮アプローチが可能となり、より低侵襲で痛みの少ない治療が可能となっている。入院期間も短縮化されている。

⑤:皮下から動脈や中心静脈にカテーテルポートシステムを埋め込むことで、外来でいつでも抗がん剤や栄養の点滴を注入することができる。薬剤の注入が終われば、針を抜き日常生活に戻ることが可能である。静脈の埋め込む手術は日帰りで実施しており、日常生活レベルを維持しながら様々な抗がん剤治療を受けることが可能である。

総括:最先端の画像機器(X線透視、CT, エコーなど)を用いて、患者さんの体の負担が少ない治療(IVR, 画像下治療)を行っている。高齢の方や様々な疾患において進行した病状の患者さんにも適応可能であり、入院期間が短いのが特徴である。
麻酔科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K188-2 ①硬膜外腔癒着剥離術 22 0.18 3.86 0.00 68.59
K1901 ②脊髄刺激装置植込術 脊髄刺激電極を留置した場合
K1902 ③脊髄刺激装置植込術 ジェネレーターを留置した場合
①:腰椎手術後疼痛症候群、腰部脊柱管狭窄症、腰椎椎間板ヘルニアなど疼痛疾患で、硬膜外腔の癒着による痛みがある患者に適応があります。当科では、術前に神経根ブロックや硬膜外ブロックなどの治療/検査を行ったうえで、適応を決めています。通常、1泊2日や他のブロック治療と合わせて1週間の入院で施行しています。

②:各種の内服治療やブロック治療が無効である難治性の疼痛疾患に対して、施行しています。具体的には、帯状疱疹後神経痛やCRPS(複合性局所疼痛症候群)、幻肢痛などです。当科では、特に帯状疱疹後神経痛の早期に経皮的植込術を適応し、慢性化を防ぐ取り組みをしています。通常、1~2週間の入院が必要です。

③:経皮的に脊髄刺激の効果を確認し、有効な患者に対して植込術を行います。

総括:当科では難治性の疼痛疾患に対して、ブロック治療のほか様々な低侵襲手術を行っております。
救急科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K386 ①気管切開術 21 7.67 53.33 61.90 71.14
K1422 ②脊椎固定術、椎弓切除術、椎弓形成術(多椎間又は多椎弓の場合を含む) 後方又は後側方固定 17 1.18 33.88 64.71 65.00
K6151 ③血管塞栓術(頭部、胸腔、腹腔内血管等) 止血術 10 0.30 44.00 50.00 52.40
K1642 ④内血腫除去術(開頭して行うもの) 硬膜下のもの
K924-3 ⑤同種クリオプレシピテート作製術
①:当センターでは、外因に限らず内因性疾患による重度意識障害によって自身で呼吸できない症例が多いです。このため、気管切開術を行なって長期間の人工呼吸管理を行なっています。

②:多く搬送されてくる転落外傷のうち、脊椎および脊髄外傷の症例も多いことから、脊椎手術も多く行なっています。受傷から2日以内に手術を行なって、早期のリハビリテーション開始を目指しています。

③:交通事故などで腹部や胸部を強く打つことで内出血に至る症例に対して、当センターでは血管塞栓術を実施しています。これにより速やかな内出血の止血を行い、患者さんの社会復帰を目指しています。

④:転落外傷の中には強く頭部を打って、頭蓋内に血腫が急速に大きくなる症例が多いです、これらに対しては速やかな血腫除去が救命に不可欠です。当センターでは搬送時に緊急手術を行なっています。

⑤:交通外傷などで大量に出血している症例では、あまりの出血のために血液凝固能が低下してしまっている症例があります。当センターでは、クリオプレシピテートという血液凝固因子を多く含んだ血液製剤を作製して、使用することで速やかな止血を目指しています。

総括:当センターでは重症の出血病態や神経機能の温存や回復を目的とした止血術や緊急手術はもちろんのこと、意識障害が遷延することで長期に人工呼吸を要する病態を多く診療しています。次々に搬送されてくるこれらの病態に対応するために、転院など地域の医療機関との連携を密にしています。
呼吸器外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K514-23 ①胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術 肺葉切除又は1肺葉を超えるもの 83 2.45 7.64 2.41 71.17
K514-21 ②胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術 部分切除 58 1.84 5.48 1.72 69.93
K5131 ③胸腔鏡下肺切除術 肺嚢胞手術(楔状部分切除によるもの) 14 2.79 5.57 7.14 47.71
K514-22 ④胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術 区域切除 11 2.36 5.64 0.00 71.91
K488-4 ⑤鏡下試験切除術
①:肺癌に対する標準手術。安全に行われています。

②:手術に対しリスクのある症例の肺癌や転移性肺腫瘍に行われています。

③:自然気胸に対する手術です。

④:肺癌に対して標準とみなされるようになった手術です。

⑤:手術適応のない場合でも、治療方針を決めるために行われることがあります。

総括:ほとんどすべての術式が施行可能で、安全に行われています。
腎臓内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K6121イ ①末梢動静脈瘻造設術 内シャント造設術 単純なもの 16 15.44 20.38 18.75 77.75
K607-3 ②上腕動脈表在化法
K3772 ③口蓋扁桃手術 摘出
K635-3 ④連続携行式腹膜灌流用カテーテル腹腔内留置術
K7211 ⑤内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術 長径2センチメートル未満
①:腎臓内科では、緊急透析導入にあたり末梢動静脈瘻造設術を泌尿器科と協力して管理しています。予定透析導入ではなく、緊急透析導入の場合、当科入院中に内シャント造設術を行っています。

②:動静脈瘻による心負荷に耐えられない高度心機能低下例に対し、内シャント術の代用として動脈表在化術を行っています。

③:IgA腎症の治療目的に口蓋扁桃摘出術を行っています。

④:腹膜透析を希望された患者には腹膜透析カテーテル留置術も泌尿器科と協力して管理しています。計画的に透析導入できるように説明しても拒否されたり、透析導入直前に呼吸困難や全身浮腫で緊急入院される患者に対して、入院後に腹膜透析カテーテル留置術を行っています。

⑤:腎臓病に罹患している患者では腎性貧血を高頻度に合併していますが、その中には大腸癌を併発している患者がいます。便潜血検査陽性患者には積極的に消化器内科と協力して下部消化管内視鏡検査を行い、必要な患者には内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術を行っています。

総括:手術としては、透析導入に必要な末梢動静脈瘻造設術や持続携行式腹膜灌流用カテーテル腹腔内留置術が多く、IgA腎症に対する扁桃的手術術も積極的に行っています。
その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)ファイルをダウンロード
DPC 傷病名 入院契機 症例数 発生率
130100 播種性血管内凝固症候群 同一 3 0.02
異なる 23 0.16
180010 敗血症 同一 7 0.05
異なる 25 0.17
180035 その他の真菌感染症 同一 2 0.01
異なる 1 0.01
180040 手術・処置等の合併症 同一 92 0.63
異なる 9 0.06
【播種性血管内凝固症候群(DIC)】
 当院では、重症の患者を受け入れることが多く、合併症を併発している患者さんも少なくありません。転院や、救急搬送後にDICの発症が確認される場合が多くその治療にあたっています。

【敗血症】
 敗血症とは、様々な臓器障害を伴う重篤な感染症のことです。敗血症の状態で入院される患者さんや、入院中に様々な治療の合併症として敗血症を発症される患者さんがいらっしゃいます。当院では感染症専門医や集中治療医によって最新のガイドラインに基づいた適切な診断および治療を行っています。

【その他の真菌感染症】
 当院では高度の免疫不全を来しうる様々な治療を行っており、稀ではありますがカンジダ属やアスペルギルス属などの真菌による感染症が発生しています。迅速・適切な診断および治療を行うよう努めています。

【手術・処置等の合併症】
 「手術処置等の合併症」は101件となっており、体内への挿入物(カテーテル、ペースメーカー、人工血管、人工関節)に関する疾患と人工腎臓患者さんの透析シャントに関する疾患が多くを占めております。
更新履歴
2022/9/30
当ページを公開しました。
2022/10/4
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