平成27年度 奈良県立医科大学附属病院 病院指標

  1. 年齢階級別退院患者数
  2. 診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位3位まで)
  3. 初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数
  4. 成人市中肺炎の重症度別患者数等
  5. 脳梗塞のICD10別患者数等
  6. 診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位3位まで)
  7. その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)
年齢階級別退院患者数ファイルをダウンロード
年齢区分 0~ 10~ 20~ 30~ 40~ 50~ 60~ 70~ 80~ 90~
患者数 1211 466 509 897 1196 1706 3611 4599 2004 169
 奈良県立医科大学附属病院は奈良県の中核病院として特定機能病院、高度救命救急センター、第1種・第2種感染症指定医療
機関、エイズ中隔拠点病院、精神科救急医療施設、都道府県がん診療連携拠点病院、総合周産期母子医療センター等の指定
を受け、高度で先進的な治療を行うだけでなく、多くの分野で医療の中枢としての機能を果たしております。
 特に60歳以上の患者さんの占める割合が6割を超え、症状が比較的重症になりやすい高齢者の入院が多くなる傾向にありま
す。また、小児期の患者さんが多くなっている理由として、周産期医療や小児救急に積極的に取り組んでいることが挙げられます。
診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位3位まで)ファイルをダウンロード
循環器・腎臓・代謝内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
050050xx0200xx 狭心症、慢性虚血性心疾患 経皮的冠動脈形成術等 手術・処置等1なし、1,2あり 手術・処置等2なし 258 3.42 4.87 0.39 67.59
050050xx99200x 狭心症、慢性虚血性心疾患 手術なし 手術・処置等12あり 手術・処置等2なし 副傷病なし 193 3.06 3.22 0.00 68.14
050070xx01x0xx 頻脈性不整脈 経皮的カテーテル心筋焼灼術 手術・処置等2なし 145 6.32 5.68 0.69 62.70
 循環器腎臓代謝内科で一番多い入院は、狭心症に対するカテーテルによる風船療法やステント治療目的のものです。この治療は器質的に狭くなった冠動脈を拡張する治療です。また、この方法は急性心筋梗塞にも用いられる方法で、当院では24時間365日体制で患者さんの受け入れを実施しています。
その他、冠攣縮性狭心症や心臓手術の前後冠動脈の正確な診断のための、冠動脈カテーテル検査による入院が次に多くなっております。
3番目には、心房性や心室性の頻脈症に対するカテーテルによる心筋焼灼術目的の入院です。この方法は、不整脈の原因になっている異常な心筋に電気的に火傷を作って不整脈を根治的に治療する方法です。
呼吸器・アレルギー・血液内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
040040xx99100x 肺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等1あり 手術・処置等2なし 副傷病なし 117 2.13 3.29 0.00 68.24
040080x099x0xx 肺炎、急性気管支炎、急性細気管支炎(15歳以上) 手術なし 手術・処置等2なし 72 14.31 14.34 6.94 70.67
040040xx9904xx 肺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等24あり 64 25.05 13.38 3.13 66.41
 呼吸器アレルギー血液内科では、肺癌の確定診断やびまん性肺疾患に対する精査目的に施行している気管支鏡入院が多くを占めています。当科では基本的に全例ミダゾラムを使用しているため、肺の基礎疾患がある患者さんに呼吸抑制が遷延し、呼吸状態が急変する懸念もあるため入院での検査を行っております。次に肺炎などの呼吸器感染症の入院が多くを占めていますが、当院は地域の中核病院であり、肺癌や間質性肺炎、慢性閉塞性肺疾患など肺の基礎疾患をもった患者さんを多く診療しており、そのような患者さんが肺炎を併発されると重症化する可能性もあり、入院での加療が多くなっております。それとほぼ同じくらいに肺癌患者さんの化学療法目的入院があります。高齢の患者さんや肺の合併症をもった肺癌患者の数も多く、化学療法の合併症の管理目的で、1クール目の化学療法の導入は入院で行っております。その後問題なければ2クール目以降は外来化学療法に移行しております。
消化器・内分泌代謝内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
060020xx04x0xx 胃の悪性腫瘍 内視鏡的胃、十二指腸ポリープ・粘膜切除術 手術・処置等2なし 157 8.61 9.20 0.00 73.00
06007xxx99x00x 膵臓、脾臓の腫瘍 手術なし 手術・処置等2なし 副傷病なし 89 3.97 10.10 3.37 67.96
060050xx97x0xx 肝・肝内胆管の悪性腫瘍(続発性を含む。) その他の手術あり 手術・処置等2なし 86 18.47 11.98 0.00 71.47
消化器内科で多い病気は消化器悪性腫瘍の治療です。がんの治療は年々進歩しており早期がんの場合以前なら手術が必要であった患者さんも手術することなく内視鏡治療で完治をすることができるようになり、当科でも積極的に内視鏡治療を行っております。手術が困難な進行がんに対しては抗がん剤治療を行っています。近年膵癌の超音波内視鏡下穿刺吸引法(EUS-FNA)による病理学診断は正診率は9割以上と高く、外科手術前、内科的な抗癌剤治療前に施行しております。 
 また肝・肝内胆管の悪性腫瘍はラジオ波焼灼術やまた放射線科と連携、IVR治療も多数行っています。また抗癌剤治療はガイドラインに基づき適切な薬剤の選択します。最近では導入は入院でしますが、2回目以降は通院治療を行えるようにしています。
神経内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
010160xx99x00x パーキンソン病 手術なし 手術・処置等2なし 副傷病なし 57 22.40 19.00 7.02 70.09
010160xx99x10x パーキンソン病 手術なし 手術・処置等2あり 副傷病なし 34 25.06 21.49 8.82 72.71
010155xxxxx00x 運動ニューロン疾患等 手術・処置等2なし 副傷病なし 28 16.79 15.23 0.00 67.43
 神経内科で最も多い入院は、パーキンソン病の薬物治療目的です。診断・治療が困難な指定難病の中で、最も多い疾患がパーキンソン病で、高齢化とともに年々患者数が増加しています。また医療の進歩により年々パーキンソン病に対する新薬が発売され、日常生活動作(ADL)を改善するだけではなく、生活の質(QOL)を改善することが患者さんの目標となり、入院での綿密な薬剤調整により、質の高い医療を提供しています。当大学病院は、パーキンソン病の診断において、放射性同位元素RIを用いた県内で最も高度な診断法を提供できる数少ない施設であり、パーキンソン病においてRI検査を処置として実施している患者が、当科の2番目に多い入院となっています。3番目に多い疾患は、運動ニューロン病、特に筋萎縮性側索硬化症(ALS)です。ALSは、四肢麻痺と嚥下・呼吸障害が進行する疾患で、診断の最も難しい難病の一つです。入院においては、診断のみならず、呼吸や栄養管理、地域療養体制の整備も重要で、県内外から患者が集まって診療している状況です。
消化器外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
06007xxx97x00x 膵臓、脾臓の腫瘍 その他の手術あり 手術・処置等2なし 副傷病なし 57 4.30 15.28 0.00 67.37
060035xx0100xx 結腸(虫垂を含む。)の悪性腫瘍 結腸切除術 全切除、亜全切除又は悪性腫瘍手術等 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし 56 14.36 17.41 1.79 69.96
060020xx02x0xx 胃の悪性腫瘍 腹腔鏡下胃切除術 悪性腫瘍手術等 手術・処置等2なし 45 15.42 16.02 2.22 65.98
 消化器外科での患者は多岐にわたりますが、消化器癌患者全般が主たる入院症例です。中でも5大癌のうち、胃癌、大腸癌、肝癌、乳癌の4領域を中心に治療しています。さらに、胆道癌、食道癌、膵癌も取り扱っています。消化器癌の治療の中心は、病巣切除であり、大腸癌、胃癌、肝癌の順に手術件数が多くなっています。上記の膵・脾腫瘍の症例は、手術件数ではなく、化学療法のための埋め込み型リザーバ留置あるいは抜去を目的とした短期入院の症例数です。消化器悪性腫瘍の治療は、切除治療が最も効果的で優先されますが、術前術後の化学療法も駆使して成績向上にも取り組んでいます。
 診療科としては、小児外科疾患も対応可能な体制を整えています。また、当診療科では常に最先端の治療を安全かつ確実に実施できるよう診療を行っています。
脳神経外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
010030xx9910xx 未破裂脳動脈瘤 手術なし 手術・処置等1あり 手術・処置等2なし 84 4.43 3.15 0.00 57.44
010050xx02x00x 非外傷性硬膜下血腫 慢性硬膜下血腫穿孔洗浄術等 手術・処置等2なし 副傷病なし 53 10.85 11.91 18.87 76.55
010070xx9910xx 脳血管障害 手術なし 手術・処置等1あり 手術・処置等2なし 52 3.54 3.02 0.00 64.85
奈良県立医科大学脳神経外科では、735件(2015年度)の手術を行っています。
脳腫瘍や未破裂脳動脈瘤を含んだ脳血管障害など、手術前に検査入院を行います。
また、近年の高齢化に伴い慢性硬膜下血腫の手術が増えています。
心臓血管外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
040040xx97x0xx 肺の悪性腫瘍 手術あり 手術・処置等2なし 166 12.37 13.03 0.00 67.54
050180xx97xx0x 静脈・リンパ管疾患 その他の手術あり 副傷病なし 46 3.98 3.46 0.00 66.70
050163xx02x1xx 非破裂性大動脈瘤、腸骨動脈瘤 大動脈瘤切除術(吻合又は移植を含む。) 腹部大動脈(分枝血管の再建を伴うもの)等 手術・処置等21あり 36 23.92 22.62 0.00 72.36
(心臓血管外科と呼吸器外科の情報です)
 呼吸器外科では、肺の悪性腫瘍に対する手術が半数以上を占めており、原発性肺癌、転移性肺癌、その他胸部の悪性腫瘍に対して手術を行っており、内視鏡胸腔鏡)手術を積極的に行い、麻酔科とも協力し、侵襲の少ない手術・痛くない手術を実践しており、その結果、手術創の縮小、術後疼痛の軽減により、早期離床、早期退院が可能となっています。肺の悪性腫瘍といえど早期に発見されると完治につながり、また進行肺癌・進行縦隔腫瘍に対しては呼吸器内科・放射線科とチームを組んで化学療法、放射線治療を組み合わせた集学的治療も積極的に行っています。
 足の静脈の逆流弁が壊れ、静脈の血液が逆流して静脈がふくれて皮膚障害やだるさを引き起こす病気が下肢静脈瘤です。立ち仕事の方や妊娠、出産を原因として起こることが多く、自分で気付くことが出来る病気です。症状出現し手術が必要になれば、レーザー治療など創部が少ない手術をふくめ、患者さんに一番合う治療を行っています。
大動脈瘤とは大動脈が動脈硬化により脆弱となり拡大した病気です。動脈硬化を持つ方は生活習慣の欧米化と高齢化により増えており、大動脈瘤の患者さんも増えております。大動脈瘤は無症状で経過し、大きくなると突然破裂し命にかかわります。このため瘤が大きくなれば破裂予防のため手術治療が必要です。
当科では積極的に手術治療を行っており、放射線科と共同でステントグラフトを用いた負担の少ない手術も行っております。

整形外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
07040xxx01xx0x 股関節骨頭壊死、股関節症(変形性を含む。) 人工関節再置換術等 副傷病なし 68 29.10 24.95 23.53 62.28
070085xx97xxxx 滑膜炎、腱鞘炎、軟骨などの炎症(上肢以外) 手術あり 59 19.07 14.41 28.81 61.90
160620xx01xxxx 肘、膝の外傷(スポーツ障害等を含む。) 腱縫合術等 48 16.33 11.98 4.17 25.90
 整形外科に入院する疾患で多いのは下肢の変形性関節症や骨壊死に対する手術目的の患者さんです.軟骨がすり減り骨が変形したり,骨の血流が悪くなり関節痛が生じる病気ですが,お薬やリハビリで痛みが軽くならず生活に支障があれば手術を行います.手術では自分の関節が残せる患者さんには骨切り術を変形がひどい場合は人工関節置換術を行います.
続いて多いのが各関節におこる炎症(滑膜炎)や軟骨損傷,腱鞘炎です.日常生活やスポーツによる使い過ぎで関節や腱に負担がかかったり,関節リウマチ・血友病などの病気で関節に問題が生じた場合に手術のために入院されます.当院では内視鏡を使った低侵襲な手術が多く行われています.
3番目に多いのはスポーツによる膝や肘の障害です.スポーツにより靭帯や関節軟骨,半月板などに障害が起こった場合手術を要する場合があります.これらの障害も内視鏡を使用した低侵襲な手術で早期にスポーツ復帰できるように取り組んでいます.

産婦人科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
140010x199x00x 妊娠期間短縮、低出産体重に関連する障害(出生時体重2500g以上) 手術なし 手術・処置等2なし 副傷病なし 204 5.71 6.17 0.00 0.00
120180xx01xxxx 胎児及び胎児付属物の異常 子宮全摘術等 133 8.14 9.94 0.00 33.38
12002xxx99x40x 子宮頸・体部の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等24あり 副傷病なし 130 5.98 5.33 0.00 55.60
 産婦人科、特に産科の場合は、ここ10年で合併症妊婦の出産が多くなっている。
さらに県下で発生した未熟児、特に28週未満あるいは1000g未満の早産妊婦を積極的に管理しているため、切迫早産管理入院が増加している。これは大学病院の使命であると考えている。
 また、婦人科では子宮頸・体部の悪性腫瘍に対して、手術および手術以外の集学的治療が増加している。
小児科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
010230xx99x00x てんかん 手術なし 手術・処置等2なし 副傷病なし 57 6.25 7.03 1.75 7.12
130170xxxxxxxx 血友病 27 9.63 12.50 0.00 10.52
140010x299x1xx 妊娠期間短縮、低出産体重に関連する障害(出生時体重1500g以上2500g未満) 手術なし 手術・処置等21あり 26 35.31 24.29 0.00 0.00
 奈良県立医科大学小児科は平成23年にセンター化され、24時間体制で高度小児医療を行う施設であります。小児医療の多様なニーズに対応するため、様々な領域を専門とする診療グループがあり、血液、神経、循環器、腎臓・膠原病、腫瘍、感染症、内分泌、新生児などの各専門医がいます。各グループが協力体制のもと、総合的に診療を行っています。
 小児科で一番多い入院は、てんかんに対するビデオ脳波入院です。てんかんとは脳に異常信号が発生することで、四肢の硬直や震えなどの体に異常な動作をきたします。ビデオ脳波は発作時に脳波と一緒に体の動作を撮影をすることで、脳と体の関係性を精査することができ、有効な治療方法がみつけられます。
 次に血友病ですが、当小児科はこの治療・研究で世界トップクラスの施設であるため、県内だけでなく、県外から多くの患者さんがこられるため、入院数が2番目となっております。入院目的は血友病の在宅自己注射の指導と出血時の治療です。血友病は第Ⅷ・Ⅸ因子という凝固因子が不足する、易出血性疾患です。凝固因子の定期補充療法をすることで、出血を未然に防ぐことができます。週に2-3回注射を行いますが、小児の場合は自己注射が難しいため、綿密な指導を入院にておこなっております。
 3番目は、新生児医療入院です。当大学は県下唯一の総合周産期母子医療センター認可施設で、早産で生まれた新生児は、呼吸・循環が未熟なため集中治療を行なっております。このほかに、白血病などの血液腫瘍の治療は現在、県内では当大学で行われています。また、小児循環器はカテーテル検査、カテーテル治療、先天性心疾患手術入院があり、腎臓は治療方針を検討のため腎生検をおこなっております。内分泌は成長ホルモン検査が主ですが、それ以外の負荷検査も多くあります。
眼科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
020160xx97xxx0 網膜剥離 手術あり片眼 66 10.00 11.08 0.00 60.70
020220xx97xxx0 緑内障 手術あり片眼 60 6.53 9.57 0.00 71.65
020200xx9710xx 黄斑、後極変性 手術あり 手術・処置等1あり 手術・処置等2なし 49 8.88 7.99 0.00 67.90
 眼科で多い入院は、白内障手術、網膜硝子体手術、緑内障手術が目的のものです。
網膜硝子体手術は、網膜剥離、糖尿病網膜症、黄斑円孔、黄斑前膜、黄斑変性、硝子体出血などの疾患に対する手術です。当科では25、27ゲージの硝子体カッターを用いた小切開硝子体手術を行っており、低侵襲・短時間での手術が可能です。
また緑内障手術は、線維柱帯切除術、線維柱帯切開術、緑内障インプラント手術を主に行っています。
耳鼻咽喉・頭頸部外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
030440xx01xxxx 慢性化膿性中耳炎・中耳真珠腫 鼓室形成手術 79 10.38 10.12 0.00 52.54
030150xx97xxxx 耳・鼻・口腔・咽頭・大唾液腺の腫瘍 手術あり 45 6.24 7.94 0.00 54.22
030350xxxxxxxx 慢性副鼻腔炎 43 7.00 7.76 0.00 57.02
 耳鼻咽喉科における入院は、多い順に慢性中耳炎および真珠腫性中耳炎に対する鼓室形成術、耳下腺および顎下腺良性腫瘍に対する腫瘍摘出術、慢性副鼻腔炎に対する内視鏡的鼻内開放術です。鼓室形成術は慢性中耳炎や真珠腫性中耳炎によって穿孔し、石灰化した鼓膜を形成し、鼓室内の耳小骨の連鎖を再建することで効率よく内耳に音を伝える手術です。
 次に大唾液腺とは主として耳下腺、顎下腺のことですが、この場所にできる良性腫瘍を、顔面神経を損傷することなく全摘する手術が大唾液腺腫瘍摘出術です。
 最後に、頭蓋骨には副鼻腔という洞穴があります。副鼻腔炎とは副鼻腔の粘膜が肥厚し、自浄作用に不具合を来すことで、副鼻腔に膿汁が貯留する疾患です。内視鏡下に副鼻腔経路を開放し、副鼻腔内に膿汁が貯留しないよう、排泄路を作成する手術です。いずれの手術も周囲の血管や神経を損傷しないよう、全身麻酔下での施行となりますので入院となります。
皮膚科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
080020xxxxxxxx 帯状疱疹 23 10.61 8.97 4.35 66.87
080011xx99xxxx 急性膿皮症 手術なし 18 12.22 11.97 0.00 64.94
080190xxxxxxxx 脱毛症 17 3.00 3.74 0.00 37.00
 皮膚科で最も多いのは、帯状疱疹での入院です。免疫が低下したときに水痘ウィルスが再燃して生じる疾患です。よくある疾患で通常であれば、外来通院で内服治療になります。しかし、他疾患の合併などでもともと免疫抑制状態である方は、容易に重症になることが多く、入院し点滴治療が必要となります。当院は大学病院であり、重症な方を数多く受け入れております。
 次に多いのは、蜂窩織炎の患者さんです。真皮から皮下脂肪織に細菌感染を生じたものです。特に下腿が好発部位になり、腫れや痛みで歩行が困難になることも少なくありません。重症になると入院し抗生剤の点滴治療が必要となります。
 入院治療で3番目に多いのは、脱毛症になります。円形脱毛症の重症型である全頭脱毛症や汎発性脱毛症では、発症早期に副腎皮質ホルモンの3日間大量療法を行うことで、回復する可能性が高くなるとの報告もあり、当科では積極的に行うようにしています。
泌尿器科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
110080xx9903xx 前立腺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等23あり 123 4.02 4.30 0.00 69.65
110070xx0200xx 膀胱腫瘍 膀胱悪性腫瘍手術 経尿道的手術 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし 68 7.72 7.59 2.94 75.01
110070xx99x20x 膀胱腫瘍 手術なし 手術・処置等22あり 副傷病なし 57 4.72 12.36 0.00 71.51
 泌尿器科では前立腺癌の小線源治療が最も多く、低侵襲で根治性の高い治療として、低リスクから中リスク前立腺癌に対して幅広く実施している。
二番目に多いのは、筋層非浸潤性膀胱癌の初期治療である経尿道的膀胱腫瘍切除術であるが、筋層浸潤性膀胱癌の病期診断のためにも行う。
 三番目は、尿路上皮癌、特に筋層浸潤性膀胱癌に対する膀胱全摘の術前補助療法あるいは進行性(転移性)膀胱癌の全身治療としてのMVAC療法やGC療法などの化学療法である。
放射線科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
060050xx97x0xx 肝・肝内胆管の悪性腫瘍(続発性を含む。) その他の手術あり 手術・処置等2なし 130 14.20 11.98 1.54 75.25
050170xx03000x 閉塞性動脈疾患 動脈塞栓除去術 その他のもの(観血的なもの)等 手術・処置等1なし、1あり 手術・処置等2なし 副傷病なし 86 6.27 5.99 0.00 71.94
050163xx03x0xx 非破裂性大動脈瘤、腸骨動脈瘤 ステントグラフト内挿術 手術・処置等2なし 50 15.08 13.19 8.00 78.82
 当診療科ではインターベンショナル・ラジオロジー(IVR、画像下治療)の技術を用いて患者様に低侵襲な治療を提供しております。IVR(画像下治療)は様々な疾患に適応されていますが、中でも、肝臓がん、末梢血管の閉塞、大動脈瘤がトップ3となっています。受診して頂ければ、IVR(画像下治療)の適応を判断し、適応があれば、後日、放射線科病棟入院の上でIVR治療を行います。退院後は外来通院で定期的に経過観察をさせて頂きます。治療および外来診療は日本IVR学会認定専門医・指導医が担当します。

麻酔科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
010111xxxxx0xx 遺伝性ニューロパチー 手術・処置等2なし 21 7.86 14.25 0.00 66.76
070343xx99x00x 脊柱管狭窄(脊椎症を含む。) 腰部骨盤、不安定椎 手術なし 手術・処置等2なし 副傷病なし 20 2.95 11.00 0.00 66.60
070350xx99xxxx 椎間板変性、ヘルニア 手術なし 13 5.23 9.53 0.00 59.23
 ペインセンター(麻酔科)では帯状疱疹後神経痛に対する透視下または超音波ガイド下での各種神経ブロック療法を入院にて実施している。
また、頚部および腰部の脊柱管狭窄症や変形性脊椎症、椎間板ヘルニアなどによる慢性痛に対し、各種神経ブロック療法を入院にて実
施している。高齢化により帯状疱疹後神経痛や脊椎疾患関連の慢性痛は増加傾向である。

救急科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
161070xxxxx00x 薬物中毒(その他の中毒) 手術・処置等2なし 副傷病なし 35 2.31 3.58 8.57 43.26
180010x0xxx3xx 敗血症(1歳以上) 手術・処置等23あり 20 37.95 40.74 50.00 72.45
160100xx99x00x 頭蓋・頭蓋内損傷 手術なし 手術・処置等2なし 副傷病なし 19 6.42 7.52 31.58 46.63
 救急医学科は県内唯一の高度救命救急センターを運営する主体であって,緊急度または重症度の高い疾患および外傷を24時間体制で外来および入院診療を行っている.主な診療対象は中毒,広範囲熱傷,切断肢など特殊救急,頭部,胸部を含む多部位にわたる重症外傷,多臓器にわたる機能不全であり,その多くは奈良県全土からの救急車搬送および他病院からの紹介転送患者である.中毒は意識障害,呼吸不全,腎不全,肝不全,など全身臓器の障害をもたらし,治療にあたっては総合的な臨床能力が要求される.敗血症は重症多発外傷,下部消化管穿孔,尿路感染など原因となる病態が様々であり,単なる抗菌剤等の薬物治療のみで治癒することは少ない.したがって,長期の集中治療室での呼吸循環管理を要することが多く,人的,物質的医療資源の投入が必要となる.
内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
100070xxxxxxxx 2型糖尿病(糖尿病性ケトアシドーシスを除く。) 27 12.70 15.35 0.00 59.26
070560xx99x0xx 全身性臓器障害を伴う自己免疫性疾患 手術なし 手術・処置等2なし 18 30.50 18.15 11.11 59.44
040080x099x0xx 肺炎、急性気管支炎、急性細気管支炎(15歳以上) 手術なし 手術・処置等2なし 17 11.65 14.34 35.29 73.71
(標榜が内科となっていますが総合診療科の情報です)
 総合診療科ではいろいろな複数の基礎疾患、糖尿病や高血圧などを抱えた方々を診たり、原因不明の症状、発熱、倦怠感、痛みなどが長く続いている方々を診ることが多くなっています。これらの症状の原因は自己免疫性疾患や悪性腫瘍であることがあります。また平日の20時までですが、救急車の受け入れもおこなっておりますので、急病の方々の入院も多くなっております。
初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数ファイルをダウンロード
初発 再発 病期分類
基準(※)
版数
Stage I Stage II Stage III Stage IV 不明
胃癌 191 27 34 103 - 40 1 7
大腸癌 39 30 46 25 - 27 1 7
乳癌 30 37 - - - 14 1 7
肺癌 123 44 89 112 27 65 1 7
肝癌 38 28 24 27 - 297 1 7
※ 1:UICC TNM分類,2:癌取扱い規約
 消化器外科においては5大癌のうち、胃癌、大腸癌、乳癌、肝癌の治療に取り組んでいます。胃癌は、検診結果が奏功しておりStageIが最も多くなっています。一方、StageIVも多く、進行した胃癌は無症状で進展することが伺えます。また、再発症例も治療の対象となります.
大腸癌は、Stageの分布が平均しており、検診効果も観られるが、種々の時期に症状が出現するためと考えられます。また、再発例も治療が行われています。
乳癌も、検診効果が現れており、Stage IとStageIIの症例が多く治療されています。また、少数ですが、再発乳癌も出現し治療しています。
肝癌は、無症状で進行することが多く、種々のStageで発見されており、満遍なく4段階のStageに分布しています。特徴的なことは、再発しても、種々の治療、再手術、IVR、RFA、化学療法などで対応可能な症例が非常に多いことです。
 消化器内科では5大癌のうち乳・肺癌を除く3大癌の治療を行っています。胃・大腸癌は主にStage1のうち内視鏡治療可能な症例とStage4の手術困難な症例の化学療法を担当しています。肝癌は再発をおこしやすい癌であり、さまざまな治療を駆使して治療に取り組んでいます。手術以外の治療方法としてはラジオ波焼灼療法、肝動脈化学塞栓療法、全身化学療法、放射線療法などがあります。肝癌は患者数がステージⅠ~ステージⅣまで均等に分かれており、手術症例以外のほぼすべてを担当しております。
 呼吸器・アレルギー・血液内科、呼吸器外科、放射線科、放射線治療科と連携して多くの肺癌患者さんを診療しております。主にStageⅠ・Ⅱ期の肺癌であれば、呼吸器外科にて胸腔鏡下での手術を行っており、手術が困難な場合は、定位肺照射を含めた放射線治療を行っています。StageⅢ期の肺癌は場合によっては手術を行っていますが、主に化学放射線治療を行っています。StageⅣ期の場合は、化学療法中心に行っております。初診時にBest supportive careとなり、精査されていない場合もあるため、UICC病期不明となっている症例があります。
成人市中肺炎の重症度別患者数等ファイルをダウンロード
患者数 平均
在院日数
平均年齢
重症度 0 16 14.38 55.69
重症度 1 31 16.74 69.77
重症度 2 25 15.28 76.08
重症度 3 - 10.78 82.44
重症度 4 - 13.00 76.00
重症度 5 - - -
不明 - - -
 重症度1・2の中等症の患者数が最も多くをしめております。当院は地域の中核病院であり、肺癌・慢性閉塞性肺疾患・間質性肺炎など肺の基礎疾患を有する多数の患者さんを呼吸器・アレルギー・血液内科で診察しております。そういった患者背景をもった市中肺炎においては、合併症により重症化する可能性もあり、中等症も含め、重症度0の軽症例でも入院していただくケースもあります。またそのために、入院の時点ですでに重症度3・4の重症例・超重症例となっている症例は、重度の呼吸不全を呈しており、集約的治療を行っておりますが、早期の死亡例も存在するため、重症度1・2の中等症と比べると逆に在院日数が短くなっているのだと考えます。
脳梗塞のICD10別患者数等ファイルをダウンロード
ICD10 傷病名 発症日から 患者数 平均在院日数 平均年齢 転院率
G45$ 一過性脳虚血発作及び関連症候群 3日以内 10 6.3 68.9 10.00
その他 - - - -
G46$ 脳血管疾患における脳の血管(性)症候群 3日以内 - - - -
その他 - - - -
I63$ 脳梗塞 3日以内 110 22.81 74.62 47.33
その他 21 23.19 68.00 6.87
I65$ 脳実質外動脈の閉塞及び狭窄,脳梗塞に至らなかったもの 3日以内 - - - -
その他 98 8.80 72.29 1.96
I66$ 脳動脈の閉塞及び狭窄,脳梗塞に至らなかったもの 3日以内 - - - -
その他 - - - -
I675 もやもや病<ウイリス動脈輪閉塞症> 3日以内 - - - -
その他 21 9.76 36.43 9.09
I679 脳血管疾患,詳細不明 3日以内 - - - -
その他 - - - -
近年の高齢化に伴い、脳梗塞を含む脳卒中の患者が増えています。
当科では脳梗塞の内科的および外科的治療を積極的に行っています。
また、子供も含めてもやもや病の治療も積極的に行っています。
診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位3位まで)ファイルをダウンロード
循環器・腎臓・代謝内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K5493 経皮的冠動脈ステント留置術 その他のもの 194 2.06 2.32 1.03 68.32
K5951 経皮的カテーテル心筋焼灼術 心房中隔穿刺又は心外膜アプローチを伴うもの 112 1.59 4.57 0.89 65.83
K5491 経皮的冠動脈ステント留置術 急性心筋梗塞に対するもの 72 0.01 16.10 4.17 66.96
 循環器腎臓代謝内科で多い手術は、狭心症や急性心筋梗塞に対する、冠動脈に対する冠動脈形成術です。冠動脈にカテーテルを用いて、風船療法やステント留置を行い、狭くなったあるいは閉塞した冠動脈を拡張したり再開通させたりする治療法です。この冠動脈再開通療法は急性心筋梗塞発症後早期に実施することが必要で、当院では365日24時間体制で患者さんの受け入れを行っております。
 また、その他に多い手術は、心房細動や心房頻脈、心室性不整脈に対する心筋焼灼術です。この治療法は、不整脈の原因になっている異常な心筋に電気的に火傷を作って不整脈を根治的に治療する方法です。


消化器内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K6532 内視鏡的胃、十二指腸ポリープ・粘膜切除術 早期悪性腫瘍粘膜下層剥離術 158 1.11 6.63 0.00 72.95
K688 内視鏡的胆道ステント留置術 81 1.42 18.43 9.88 72.79
K6152 血管塞栓術(頭部、胸腔、腹腔内血管等)(選択的動脈化学塞栓術) 80 2.10 15.08 0.00 72.18
 当科での手術は内視鏡手術が中心となります。早期胃がんに対する粘膜下層剥離術や閉塞性黄疸(総胆管結石、胆道・膵臓がん)に対するステント留置術を積極的におこなっています。粘膜下層剥離術は胃カメラを用いでお腹を開けることなくがん細胞を取り除く手術です。ステント留置術は黄疸が出た患者さんに胃カメラを用いて結石を取ったり、胆汁の流れを改善させ黄疸を取る手術です。
 当院では緊急内視鏡的ステント留置術はは随時24時間体制で受け入れております。また放射線科と連携し肝細胞がんに対するIVR治療も多数行っています。IVR治療とは血管に細いカテーテルを挿入し、カテーテルから抗がん剤と塞栓物質をいれてがん細胞を兵糧攻めにしたりする治療法です。
消化器外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K7211 内視鏡的結腸ポリープ、粘膜切除術、長径2センチメートル未満 59 0.76 1.32 0.00 68.58
K6335 ヘルニア手術、鼠径ヘルニア 50 0.62 1.28 0.00 11.26
K682-2 経皮的胆管ドレナージ 39 2.72 17.82 5.13 70.36
 消化器外科では、結腸直腸腫瘍の症例が非常に多く、中でも内視鏡的結腸ポリープ及び粘膜切除は、低侵襲治療として増加傾向で、積極的に対応しています。当科では小児外科症例も広く受け入れており、手術症例としては主たる術式の鼠径ヘルニア手術が2番目に多くなっています。
また、入院症例全体では、膵臓腫瘍や胆道腫瘍の患者が最も多いため、経皮的胆管ドレナージ術を必要とする症例が多い状況です。他にも、外科治療の分野で多岐にわたる様々な手術治療を積極的、かつ安全に施行できる体制を整えています。
脳神経外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K1771 脳動脈瘤頸部クリッピング 1箇所 69 1.61 27.23 31.88 65.06
K164-2 慢性硬膜下血腫穿孔洗浄術 59 0.93 9.71 18.64 74.22
K1692 頭蓋内腫瘍摘出術 その他のもの 54 6.35 31.59 18.52 55.54
 奈良県立医科大学脳神経外科では、735件(2015年度)の手術を行っています。
脳腫瘍や(破裂、未破裂)脳動脈瘤を含んだ脳血管障害などの手術を積極的に行っています。
 また、近年の高齢化に伴い慢性硬膜下血腫の手術が増えています。
心臓血管外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K514-23 胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術 肺葉切除又は1肺葉を超えるもの 84 3.08 17.11 0.00 68.50
K514-21 胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術 部分切除 83 2.57 7.65 0.00 66.29
K617-4 下肢静脈瘤血管内焼灼術 42 1.02 1.79 0.00 66.31
(心臓血管外科と呼吸器外科の情報です) 
 肺の悪性腫瘍で手術可能と診断されると、悪性の組織を取り除いて完治を目指します。右肺は上葉、中葉、下葉の三つに、左肺は上葉と下葉の二つに分かれており、通常の摘出手術では、悪性細胞が生じた各肺葉を切除します。最近は皮膚に小さな穴を開けて行う胸腔鏡手術が主流で、体への負担が少なくなりました。全身状態が不良な場合や、高齢者や、低肺機能や、多くの合併症を有する場合は、肺機能の温存を考慮した肺切除量をへらした手術(区域切除や、部分切除などの縮小手術)も安全に施行しています。
 肺癌に関して、stage I、IIに関しては手術治療を主体に治療を行っており、stage IVに関しては抗癌剤治療を主体に行っています。Stage III期に関しては手術、抗癌剤、放射線治療を組み合わせた治療が主体に行っております。
 呼吸器外科のエクスパートが集まっており、侵襲の少ない手術を提供でき、呼吸器内科や放射線治療科医と共同で、最新の、個々の患者さんにあったがん治療を行います。様々な難治性の病気にも対応しております。
 足の静脈の逆流弁が壊れ、静脈の血液が逆流して静脈がふくれて皮膚障害やだるさを引き起こす病気が下肢静脈瘤です。立ち仕事の方や妊娠、出産を原因として起こることが多く、自分で気付くことが出来る病気です。症状出現し手術が必要になれば、レーザー治療など創部が少ない手術をふくめ、患者さんに一番合う治療を行っています。

整形外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K0821 人工関節置換術 肩、股、膝 120 3.91 24.69 36.67 66.35
K1426 脊椎固定術、椎弓切除術、椎弓形成術(多椎間又は多椎弓の場合を含む。) 椎弓形成 63 3.43 18.37 25.40 67.25
K0782 観血的関節固定術 胸鎖、肘、手、足 39 2.38 18.13 33.33 61.77
 整形外科で最も多い手術は変形性関節症や関節リウマチに対する人工関節置換術です.変形し傷んだ骨を削り金属でできた人工関節を体内に挿入することにより痛みが消失し日常生活が送りやすくなります.体重のかかる下肢の関節である股関節,膝関節,足関節に対して行うことが多いですが,肩関節,肘関節に対してもにも行っています.
2番目に多い手術として脊椎の手術があります.背骨の変性(年齢の変化)や骨折による神経圧迫から,上肢・下肢の痛みや麻痺が生じた場合に手術を行います.脊椎の骨の一部を削り神経の圧迫を解除したり,脊椎の固定を行ったりします.背骨が曲がる病気である側弯症を矯正する手術も子供から高齢者まで行ってます.最近は金属製インプラントの発展にともない,脊椎の固定も低侵襲に行っています.
3番目に多い手術は関節を固定する手術です.主に足関節や前足部(足の甲から趾)に発生した変形に対して行います.関節を固定せずに関節形成や足趾形成をすることも多くありますが,固定した方が痛みが軽減し機能的にも良い場合は関節を固定し足の形を整えます.

産婦人科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K8982 帝王切開術 選択帝王切開 141 4.51 6.11 0.00 33.13
K8981 帝王切開術 緊急帝王切開 116 3.45 6.64 0.00 33.12
K867 子宮頸部(腟部)切除術 90 1.00 2.57 0.00 41.18
 産婦人科、特に産科の場合は、ここ10年で合併症妊婦の出産が多くなっている。さらに県下で発生した未熟児、特に28週未満あるいは1000g未満の早産妊婦を積極的に管理しているため、選択的帝王切開術および緊急帝王切開術がともに増加している。
 また、婦人科では子宮頸・体部の悪性腫瘍に対して、縮小手術が増加している。これらはいずれも大学病院の使命であると考えている。
小児科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K9132 新生児仮死蘇生術 仮死第2度のもの 10 0.00 29.20 0.00 0.00
 小児科で多い処置は、新生児仮死における蘇生術です。新生児仮死とは生まれてきた新生児が呼吸,循環不全を主徴とする症候群のことです。呼吸不全時は、赤ちゃんが自分で呼吸をしていないため、人工呼吸器をつけるため挿管処置を行い、低酸素となることを防ぎます。循環不全時は、心臓マッサージや、新生児の細い血管に点滴をいれ、心臓をサポートする薬(強心剤)を投与します。当大学は県下唯一の総合周産期母子医療センター認可施設であり、24時間体制で高度医療を行っています。
眼科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K2821ロ 水晶体再建術 眼内レンズを挿入する場合 その他のもの 1194 0.88 1.01 0.17 74.85
K2801 硝子体茎顕微鏡下離断術 網膜付着組織を含むもの 180 1.21 6.79 0.56 65.84
K2682 緑内障手術 流出路再建術 45 1.18 4.02 0.00 73.71
眼科で最も多い手術は白内障手術です。この治療は混濁した水晶体を摘出し、透明な人工の水晶体と取り換える手術で、視力改善を目的に行います。当科では日帰りや短期間の入院で手術を行っています。
耳鼻咽喉・頭頸部外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K319 鼓室形成手術 90 1.17 8.11 0.00 51.51
K3772 口蓋扁桃手術 摘出 43 1.05 4.67 0.00 21.65
K340-5 内視鏡下鼻・副鼻腔手術3型(選択的(複数洞)副鼻腔手術) 37 1.49 4.32 0.00 56.59
 耳鼻咽喉科における手術は、多い順に慢性中耳炎および真珠腫性中耳炎に対する鼓室形成術、慢性習慣性扁桃炎に対する口蓋扁桃摘出術、慢性副鼻腔炎に対する内視鏡的鼻内開放術です。
 鼓室形成術は慢性中耳炎や真珠腫性中耳炎によって穿孔し、石灰化した鼓膜を形成し、鼓室内の耳小骨の連鎖を再建することで効率よく内耳に音を伝える手術です。
 次に口蓋扁桃摘出術とは、口蓋扁桃にトラップされた細菌やウィルスが原因で起こる慢性習慣性扁桃炎の根治療法として、両側の口蓋扁桃を全摘する手術です。
 最後に、頭蓋骨には副鼻腔という洞穴があります。副鼻腔炎とは副鼻腔の粘膜が肥厚し、自浄作用に不具合を来すことで、副鼻腔に膿汁が貯留する疾患です。内視鏡下に副鼻腔経路を開放し、副鼻腔内に膿汁が貯留しないよう、排泄路を作成する手術です。
皮膚科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K0072 皮膚悪性腫瘍切除術 単純切除 42 1.50 10.98 4.76 77.60
K0102 瘢痕拘縮形成手術 その他 10 1.00 5.60 0.00 45.20
 皮膚科入院手術で最も多いのは、皮膚悪性腫瘍(皮膚癌)の手術です。高齢化に伴い皮膚癌の患者さんは残念ながら増加傾向です。根治をめざすためにはまず、手術で癌を取り切ることが必要になります。切除した後は、形成外科的手技を用いて再建を行っております。
 2番目に多いのは、瘢痕拘縮形成術になります。瘢痕拘縮とは、熱傷や外傷後の傷跡などがひきつれて突っ張りが生じることです。日常生活に支障が出る場合は積極的に手術加療を行っております。
泌尿器科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K610-3 内シャント又は外シャント設置術 63 1.29 2.35 1.59 67.84
K8036イ 膀胱悪性腫瘍手術 経尿道的手術 電解質溶液利用のもの 53 1.62 5.83 3.77 74.55
K773-2 腹腔鏡下腎(尿管)悪性腫瘍手術 43 1.53 9.51 2.33 68.19
 慢性腎臓病stageⅤに対する血液透析のために必要なブラッドアクセス作製が最多で、院内発生のみならず他施設から紹介される症例も多い。
二番目に多いのは、筋層非浸潤性膀胱癌に対する初期治療あるいは病期診断のための経尿道的膀胱腫瘍切除術が多く、再発例も多い。
 三番目は、上部尿路に発生する腎癌や尿路上皮癌に対する根治手術として腹腔鏡下腎(尿管)摘除術が多い。
放射線科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K6152 血管塞栓術(頭部、胸腔、腹腔内血管等)(選択的動脈化学塞栓術) 149 2.48 11.25 1.34 74.36
K616 四肢の血管拡張術・血栓除去術 116 1.72 4.13 0.86 72.00
K5612 ステントグラフト内挿術 腹部大動脈 41 1.49 12.78 12.20 78.61
 インターベンショナル・ラジオロジー(IVR、画像下治療)は患者様の体の負担を少なく病気を治す最新の治療技術です。様々なIVR(画像下治療)治療がありますが、当院では、腫瘍(しゅよう)・がんに対する血管塞栓術、末梢血管閉塞に対する血管拡張術、大動脈瘤に対するステントグラフト内挿術を主に行っています。いずれもカテーテルという管を血管の中に挿入して、X線透視(レントゲン)の機械を使って体の中を透かせて観察しながら治療します。体を切らずに治療できるため、通常は術後の症状も軽く、治療後4日~14日程度で退院できます。
救急科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K386 気管切開術 25 4.88 40.08 56.00 69.84
K6151 血管塞栓術(頭部、胸腔、腹腔内血管等)(止血術) 13 0.23 24.08 38.46 57.62
 高度救命センターでは,多部位にわたる重症外傷,多臓器にわたる機能不全を主な診療対象としているため,個々の術式で分類すると,各々の数は少なくなる.しかし,それらの合計は他の診療科と遜色は無く、特に緊急手術の占める割合が多いと思っている.救急医療は特定の臓器,特定の身体部位を対象とするのではなく,頭部から四肢に至る身体の様々な重症病態を治療対象とするため、この様な結果となる必然性があり,今回のような主要手術別の分類統計には救命センターの特長が出にくいかもしれない.今回の結果では気管切開術が最も多い術式となったが,われわれは気管切開術を専門にしているわけではなく,重症のかつ,長期の呼吸管理を要する患者を多く診ていることを示しているにすぎない.
その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)ファイルをダウンロード
DPC 傷病名 入院契機 症例数 発生率
130100 播種性血管内凝固症候群 同一 - -
異なる 65 0.40
180010 敗血症 同一 22 0.13
異なる 89 0.54
180035 その他の真菌感染症 同一 - -
異なる - -
180040 手術・処置等の合併症 同一 75 0.46
異なる 16 0.10
更新履歴
H28.9.30
病院情報を公表しました。